第32話 Indulgenced in the Insanity Ⅰ -Resistance-

シャフトゥイからは離れた町で

私はいつものライフワークに取りかかった

トルカチの仕事で訪れた町で

私はいつも通りの殺しに取りかかった


街角で売春婦に声をかけ 誘う

いつもと同じやり方だ

彼女の言い値に色を付け 誘う

いつもと同じ殺り方だ


シャフトゥイではもう通じない方法かもしれないが

シャフトゥイで頻発したことを知らない彼女達は

欲につられてひょいひょいついて来た


場所と人が変わっても 変わらない彼女達を

私は私で変わらず 変わらないパターンで殺める


人気のない場所に彼女を誘いつつも

まずは普通に 買春するように動く

宴の前座となる茶番劇の始まりだ


私は脱ぐ彼女に呼応するように

下の衣服をするすると脱いでいくが勿論


私ハ去勢サレタカラ 異性トハ突キ合エナイ

私ハ去勢サレタカラ 異性トハ突キ合エナイ

永遠ニズット 死ヌルソノ日マデ


そう 私のイチモツは 小さいまま 不能のまま


アハハハハハハハ 私のイチモツを指差し

売春婦は下品な声を上げて大笑いした

不能じゃないの ダメチ☆コじゃないのと

何故ここが人気のない場所か考えぬまま

売春婦は呑気に大笑いした


フハハハハハハハ 彼女に呼応するかのように

私もまた大声を上げて笑い 嗤い


そのまま彼女の口を塞ぎ

別の手で首を締めながら押し倒した

唖然とした彼女を見下ろし

私は愉快な気持ちで懐からナイフを抜いた


今 私ハ帝国ノ皇帝 オ前ハタダノ肉ダ

私ニ食ワレテシマエ 食ワレテシマエ

ソシテ死ネ


血肉熱死 血肉熱死 血肉熱死

肉肉赤赤 肉肉赤赤 赤赤赤赤

死死死死死死死死


肉を切り刻んでいっている内に

いつの間にか射精して果てる

それがいつものパターンだが


その日ある獲物は命を諦めず

私に対して抵抗を見せた


zsfんhしだhでぃひhなあせfdgsgbんss!

彼女は意味不明な言語で私を罵り

kzgひhごggほはさsfdthじょgほあfごhdh!

彼女は私を引掻いたり殴ったりした


丸腰どころか裸の彼女にできるのは

せいぜいその程度の抵抗で

そんなものが私を退ける力には

とてもならなかったのだが


彼女は無駄な抵抗をやめなかった


アハハハ ハハハハ

私はそんな彼女の愚行を嗤った

人にさえ立ち向かおうとする

愚かな蟷螂と同じに見えたからだ


アハハハ ハハハハ

私は笑いながら切り刻み続け

アハハハ ハハハハ

何の躊躇いもなく止めを刺した


後に残されたのは彼女の朱と私の白だけ

彼女は眼を見開いたまま息絶えている


でも その眼がまだ私を見ているようで

その眼がまだ敵意でもって睨んでいるようで


私は彼女の両眼を抉り取って 食らった

そして咀嚼しながら 遠き日の妄想を思い出した


あの時の私は読書に夢中だった

特にソ連の若きパルチザンが

ドイツ兵を虐待する物語がお気に入りで

ソ連の若きパルチザンに

自分の姿を投影して妄想が良く走ったものだ


ドイツ兵達は私の強さに屈し 強さを恐れ

私の遥か下の位置にいる者共だから

私のことを馬鹿にすることはできない

私のイチモツを笑うことはできない


私が絶対の強者なのだ

私が帝国ノ皇帝なのだ


嗚呼 あの時の妄想から遠く離れ

今 その妄想が現実に近い形で叶っている

そのように思えた私はまた笑った

そして心の底から思った


私は今 幸福だ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る