第31話 Soviet Massacre Travelogue

住んでいる町から 見ず知らずの町へ

見慣れた景色から まだ見ぬ景色へ

風に吹かれながら 揺られながら


私は私の知らない町へと向かった

私は私を知らない町へと向かった


トルカチの職務で 国内のあちらこちらへ

あまり帰宅できず 国内のあちらこちらへ


知らない景色を静かに眺めながら私は

高揚感を感じ続けていた

私だけは感じ続けていた


家族の顔があまり見れないから続けたくない

同職の某はそう言って辞めていった

広大な国土の旅は疲れるので続けたくない

別の某もそう言って辞めていった


確かに仕事はきつく さして楽しくもないが

私にとってはこの仕事が非常に都合が良かった

赤い狂気にとってもこの仕事が非常に都合が良かった


この仕事を続けることによって

行動範囲は圧倒的に広がる

この仕事を続けることによって

たくさんの獲物候補を目にできる


売春婦 淑女 主婦 少女 ホームレス OL 看護婦

大人しい子 元気な子 暗い子 明るい子 男児 女児

屈強な男 虚弱な男 兵士 パン屋 ゲイ ノン気 バイ


白かったり 黒かったり 黄色かったり

大きかったり 小さかったり 中くらいだったり

重かったり 軽かったり 中くらいだったり

etc etc etc


今日は手軽に仕事先の町で1人

明日はちょっと足を延ばして1人

明後日は仕事先の別の町でまた1人


血肉熱死 血肉熱死 血肉熱死

肉肉赤赤 肉肉赤赤 赤赤赤赤

死死死死死死死死


狂気の宴は続いていく


赤い狂気が悦び 踊る

犯せ 壊せ 殺せ 犯せ 壊せ 殺せ 叫び笑いながら

赤い狂気はますます私を突き動かす


他所者故 土地勘が殆どなく

死体が見つかり易くなってしまったが

そのようなことはどうでもいい


どれだけ殺ろうと 政府や民警は馬鹿ばかり

私はいくら殺ったとしても問題になりはしない


つまり私の赤い狂気を止める者は何処にもいかった

私の赤い狂気を止められるものは何処にもなかった


住んでいる町から 見ず知らずの町へ

見慣れた景色から まだ見ぬ景色へ

風に吹かれながら 揺られながら


私は私の知らない町へと向かった

私は私を知らない町へと向かった


トルカチの職務で 国内のあちらこちらへ

あまり帰宅できず 国内のあちらこちらへ


そのあちらこちらで 私は人を殺す

思いのまま 殺りたいままに

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