第10話 The Power Elite

ターニャへの恋が無残に散った後

私は一層勉学に励むようになった


確かに一時期非常に落ち込みはした

私を叱責しようとした妹が何も言えなくなる程

どん底にまで落ち込んだ


私ハ去勢サレタカラ 異性トハ付キ合エナイ

私ハ去勢サレタカラ 異性トハ付キ合エナイ

永遠ニズット 死ヌルソノ日マデ


ならば今死んでしまおうか

そんなことさえ考えるようにもなったが


私の周囲ではそれでも変わらず

ただ日常は続いていく


近所を歩けば ターニャとのことを知らぬ大人達が

私のあの研究成果を今でも讃え

学校に行けば ターニャとのことを知らぬ教師達が

壁新聞で書いた内容のことを今も讃える


恋愛事とは乖離した その賛辞を変わらず聞かされる内に

私は一つの結論へと至った


私ハ去勢サレタカラ 異性トハ付キ合エナイ

私ハ去勢サレタカラ 異性トハ付キ合エナイ

永遠ニズット 死ヌルソノ日マデ


それならば成績方面を極めればいい

誰にも負けない私になればいい

No.1になればいい


そうすれば他の物事もついてくるに違いない

どんな女でもより取り見取りになるに違いない


恋愛事では何をしようとしても 全てが空回り

何も為せぬまま砕けて散って そして終わる


それでもその愚者がもしも

ヨセフ・スターリンならば笑えるか?

その愚者がもしも全盛期の

アドルフ・ヒトラーならば笑えるか?


誰も笑えはしない 嗤えはしない

例えターニャのような女でも

どんな女でも


だからNo.1になろう

パワーエリートになろう


私はそんな不埒な夢を抱きながら

ひたすら勉学に励むようになったのだが

どんな不埒な夢だろうと努力は努力

成果は大きな花となって咲き誇り


私はいつの間にか 地元の人間ならば誰も知らない程の

優等生となっていた


パワーエリート 普通の人には雲の上の存在だが

私にはその為の入口が現実として見えている

冗談抜きでそんな気がしていた

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