第12話 会いたい

 俺は誕生日をひとりで過ごした。

 当然、ミカから電話のひとつもなかった。

 諦めている。俺はミカのことを諦めていた。

 俺は二十歳になって、ミカは今では二十一歳になっている。俺のバカっぷりの結果がこれ。冬はまだまだある。長い冬。俺はひとり寒空の下で街を歩く。

 スマホは鳴らなくなった。

 誰からも。昔の彼女たちからも。それにはミカも含まれる。

 鳴らないスマホを片手にカフェに入る。

 ホットコーヒーを注文する。

 タバコに火をつける。

 俺は二十歳になって自分が変わったことや変わらないことを知る。

 もう戻らない時間。

 愛しいミカ。

 それさえも置き去りにした俺。

 スマホにメッセージが入る。

 誰だろう?

 俺は画面に表示された名前とメッセージ内容を目にする。

「ミカ・会いたい」と。

 俺はミカからのメッセージを少しだけ考えてみる。

 俺はもう子どもじゃない。

 思えばいろいろあった。

 春夏秋冬、四人の女性、ミカと別れたのは春の出来事、それから俺は遊び、今はひとりぼっち。

 俺はタバコをネジ消した。

 決めようか。

 俺をずっと待っていたのは誰だ?


「俺も会いたい」

 俺はミカにメッセージを返した。



(続く)

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