第22話 幕間―前日の夜・舞華―
その日の夜。
明日準備を終えた私はターシャちゃんの明日からの練習メニューを考えるべく、机上でペンを武器に紙と睨み合っていた。
「うーん、難しいなぁ・・・」
毎日同じメニューでもいいのだが、それだと飽きてしまう。かといって、毎日メニューを変えるのは大変だ。
何より、何日かかるか分からない。
・・・いやまてよ、瞬間移動。
確か行ったことのある場所ならいいんだっけ?
それなら、多分行くのに3日もかからないだろうから、3日分のメニューを考えればいいのではないか。
いや、道中で人を探す事を考え・・・たとしても3日でいいか。
よし!じゃあ1日目は体力作り、2日目は基礎の復習、3日目だけはギルドの人に来てもらって模擬戦かな。
4日目からは私が教えられるからいつも通り・・・それじゃあつまらないな。
私もギルドの人と戦ってみたい。
私だって、今までにたくさん成長したのだ。
それに、どの魔物がどれぐらい強いかも知らない。
まぁ、火の球だけで倒せるあたりそんなに強くはないと思うが、もしかしたら今まで倒したやつの中には、極端に魔法への耐性がないのもいたのかもしれない。
だから剣だけで戦おうかな、剣も強くなりたいし。
そう考えながら自分の考えていることに苦笑いをする。
昔だったら、絶対にこんなこと考えなかった。
いつも周りの雰囲気に流されていたし、自分から「戦う」「立ち向かう」というようなことはしてこなかったし、自分から何かをしたいと思うことはあったが、それを自分から言い出すことはほとんどなかった。
それを今は自分から、しかも「戦ってみたい」「強くなりたい」なんて元の世界ならアスリートか戦闘狂しか考えないようなことをやろうとしている。
自分にとっては異世界に行こうとしたことが、転移する方法として必ず怖いことが起こると言われているエレベーターを使ったことが、自分にとって1番の選択になると思っていたし、それだって成功するとは思っていなかった。
それが今は人生最大とも言える選択を何回もしたり自分の命を賭けてでも人を守ろうとしたりしている。
・・・そういえば初めて魔物を倒した人は罪の意識とか自分への恐怖とかを感じるらしいが、私は感じなかった。
異世界に転移したばっかりで色々あったしな。
・・・そういえば急に自分の頭が良くなった気がする。
これはスキルのせいかな?
そういえば私、異世界に来てからスキルに頼りきりだな。
ま、それも異世界の醍醐味みたいな所あるか。
とにかく、明日は朝早いし、早く寝ないと。
そうまだ見ぬ旅路に思いを馳せていると、部屋の外から朝日が見えた。
スマホを見ると、午前5時。
ソウさんには、午前6時にギルドに来いと言われていたから、その1時間前。
あ、寝られなかった。
まぁ道中で寝ればいいや。
それに準備もあるし・・・あれ?
終わってる。何でだろう。
自分でやった記憶が・・・ある。
うわ自分優秀だけどそうすると今やることが無い!
いいや、食堂行って何か手伝おうかな。
いや、ギルドまで歩いて5分かかるとして、5分前には着いていた方がいいから・・・アレンハイド、起こしてこようかな。
そう思いながら私は机を離れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます