第9話 剣を買いに来ました
「ここが武器屋かー!」
「俺、こんなデカい武器屋初めて入った。」
「私は武器屋が初めて!」
声を聞いたのか、奥から店員と思われる人が出てきた。
「いらっしゃい!おや、見ない顔だねぇ、新入りかい?俺はここの店主のグルダってんだ!よろしくな!」
どうやら、彼が店主らしい。
「こんにちは。今日はフル装備買いに来ました!」
「お、そうかい!武器はどんなのがいいんだ?」
「俺は今より長い剣が欲しい。今使っているのだと護身用だからすぐ壊れそうでな。」
「私は・・・んー、魔法も使いたいから、なるべく軽めの武器がいいです。」
「そうしたら、長めの剣は向こうにあるから見てったらいい。そこのねぇちゃんは、軽めの武器でも色々あるから、もう少しどんなのか話してくれ」
どうやらこの人は相談にのってくれるようだ。
「さて、ねぇちゃんは具体的な戦闘スタイルとかはもう決めてるのか?」
戦闘スタイルか。
せっかく魔力の自動回復とかがあるのだから、魔法をメインにした方がいいかな。
「何となくですが遠距離攻撃と複数の敵への同時攻撃は魔法を使おうと思っています。」
「ほう。近接戦闘になったらどうするんだい?」
近接、つまり敵が近くに来たらってことか。
そうすると力をコントロールできない今の状態では周囲への影響が怖いため魔法は使えない。遠距離であれば強い威力で魔法を放っても遠くへ飛んでいく過程で小さくなる(気がする)から大丈夫なのだが。
そうか、武器を使えばいいのか。
使い方ならアレンハイドがいるので何とかなるだろう。
強化魔法とかもできれば使えるようになりたいな。イメージしづらそうだが。
「その場合は、魔法で武器と体を強化して戦おうかと」
「ねぇちゃん若いのによく考えてんなぁ、じゃあ魔力を流しやすい武器の方がいいな。」
「そうだと嬉しいです。」
「それだと剣が1番だな。他にはなんかあるか?」
「私は力とか体力とかがないので、私でも長時間持ち運べるものがいいです」
「それで軽めって訳か。長さはどれぐらい欲しい?」
・・・それは私(のスキル)が張っている結界の範囲と性能による。
短すぎると攻撃する時に相手を私の結界の中に入れてしまうことになる。
そうすると結界の内部から攻撃が来た場合の対処ができない。
それに、そもそも戦う相手は基本的に敵だから、私へのダメージを与える「攻撃」として敵自体が結界にはね返される可能性がある。しかし、1回アレンハイドに殴らせたときに見た限りだと、結界の範囲はそんなに広くはないので、全長が私の腕くらいでよさそうだ。
「剣であれば、刃渡りが私の腕の長さぐらいがいいですね。それより短いと不便ですし、長いと扱いにくいので」
「よっしゃわかった。ついてこい。」
そう言うとグルダさんは奥の方へと私を連れていった。
「ねぇちゃんの要望に沿ったのだとここら辺だな。」
「ありがとうございます。しばらく見て回ります。」
「あぁ、何かあったら言ってな。そんじゃ、俺はさっきのあんちゃんを見てくるぜ。」
私は剣を見て回ることにした。
・・・おっ、この細身の剣いいな。使いやすそうだ。ただ魔力を流そうとするとコントロールが大変そうだな。
この剣もいい。先ほどの剣より少し太めだが、これなら私でも持てそうだ。
ん?これは剣・・・なのか?それにしてはすごく独特な形をしている。どちらかと言うと剣ではなく杖に似ているような感じだ。
「ん?その剣が気になるのか?」
グルダさんがやってきた。
「あ、はい不思議なデザインだなぁと思って」
「あぁ、それは杖にもなるからな。」
「杖ですか?」
魔法使いには杖が必要なのだろうか。
「ねぇちゃん魔法使いなのに知らないのか?大規模魔法を発動する際には必須アイテムだぞ?」
「そうなんですか?私はまだそんなに大規模な魔法は使ったことないのでわからないです。」
「そうだったのか。まぁ、駆け出しならそうなのかもな。だが、C級ぐらいからは使うことになるから覚えておけよ。」
C級ぐらいって、私は今そのC級なのだが。まぁ駆け出しなことには変わりないし、いいか。
「そうなんですね、覚えておきます。・・・大体、どのぐらいからが大規模魔法なんですか?」
「そうだなぁ、俺は魔法使いじゃねぇから詳しいことはわからねぇが、MPを200ぐらい消費するのはまず間違いなく大規模魔法だな。だってレベルの高い魔法使いでもMPを半分持ってかれんだぜ?そりゃあ大規模魔法に決まってんだろ。」
200?今の私なら3秒あれば回復できる。
それに200が高レベル魔法使いのMPの半分?
それはつまり、どんなに高レベルな魔法使いでも、MPの最大値は500程度だということではないのか。
ということは、一般的な魔法使いのMPはそれ以下なのか。
あれ、私のMPの数字、もしかして壊れてる?
そう思い確認してみたが、私のステータスは
MP 99,999(自動回復70/1s)
だった。魔力回復量が上がっているのはレベルアップのときに上がったとかなんとか言っていたからそれだろう。
これはステータスを偽装する必要がありそうだ。
ピロリーン。
―スキル 「偽装」を獲得しました。
早っ。これだけでスキルが獲得できるのか。
そんなんでいいのかこの世界。
まぁいい、早速鑑定してみようじゃないか。
「鑑定」
スキル
偽装
偽装したいものを好きなように偽装できる。
このスキルもけっこう適当だな。
でも、あとで試してみたいことができたな。
「ねぇちゃん、どうした?」
グルダさんの声にはっと我に返る。
「いえ、なんでもないです。ただ、大規模魔法ってどんなのだろうなーって思って」
「それは俺もだな。実際に見たことないから見られるもんなら見てみたいよ。」
「へぇー、そうなんですね。」
「それで、どうする?この剣にするか?」
「いえ、杖として当分使いそうにないので遠慮しておきます。」
「そうか。じゃあ・・・この剣ならどうだ?」
それは、奇しくも私が目をつけていた剣の1つだった。
「あ、それ私もいいと思ってたんですよ。私の中だと、その剣かこの少し太めの剣かって思ってます」
「なら、試し斬りしてみるか?」
「え、いいんですか?」
「うちは地下に試し斬り専用の場所があるんだ。案内するからついてきな。」
そう言われてついて行くと、そこはとても広い訓練場のような所だった。
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