第8話 冒険者とお金の話

その後、後始末はギルドの職員の人がやってくれた。

アレンハイドと2人でひと息ついていると、

「それにしても、派手にやりましたねー」

「おぅい、マイカ!アレンハイド!大丈夫かぁー!」

という聞き覚えのある声がした。

声の方を見ると、ウォルフさんとラナさんがこちらに向かってきていた。

「はい、大丈夫です!」

「俺もだ。」

「そうかぁ、それはよかった!・・・で、この顔面が黒こげてんのがその男か、ラナ、後で聴取しとけ」

「了解です」

さすがギルドの人、こういうことにはもう慣れているようだ。

「それにしても随分黒こげだったなー、誰が倒したんだ?」

私は無言で挙手した。

「マイカか!?」

この人もいきなり呼び捨てかい。

「あ、はい。」

「だってアレ、さっき俺が当たったのより明らかにデカいやつ当たってんだろ!?」

「あー、本当は少し小さくしようと思ったんですけど、すこぶる大きくなってしまって」

「マジかよ・・・」

そう言っていたウォルフさんだったが、

「ウォルフさん、例の話を」

というラナさんの声に、

「あぁ、すまんすまん。それで、えぇと、どこから話したもんか・・・」

「それでしたら私からお話しします。お二方、それでは説明をさせていただきます。」

「はい、お願いします。」

「お願いするぜ。」

ラナさんの説明が始まった。

「まず、冒険者にランクがあるのはご存じですか?」

「あー、そう言えばさっきの人、SS級とか何とか言ってましたね」

「それです。冒険者は、下からF, E, D, C, B, A, S, SS, EX の全部で9このランクに別れています。普通は皆さんF級からのスタートなのですが、今回はウォルフさんと相談した結果、お二人にはC級からのスタートとさせていただきます。」

「えーと、何でですか?」

「当たり前だろ!アレンハイドはともかく、マイカに至っては俺に攻撃を当てたからな!ちなみに俺は一応EX級だから、2人とも結構強いぞ。」

ウォルフさん1番上の級なんだ。何年冒険者やってるんだろう。

「説明を続けますね。受けられるクエストについてですが、自分のランクと同ランクのクエストまでです。お2人ですと、C級クエストまでですね。指定されたクエストを終えたら、またこちらにおいでください。ちなみに、クエストが達成出来なかったりすると、違約金が生じてしまいますのでご注意ください。魔物の討伐だと討伐証明部位がありますのでそちらをお持ちください。討伐証明部位は聞いて頂ければこちらでお教えします。毛皮などの素材もこちらで買取り致しますのでもしあればお持ちください。何か質問はありますか?」

「ランクは、どうやって上がるんですか?」

「昇級試験があります。いつでも承っておりますのでお声がけ頂ければすぐに試験を行うことができます。」

「緊急招集などはありますか?」

「滅多なことがない限り起こりませんが、街に魔物が大量に現れた時などにはあります。その時は街の防災無線にて連絡しますので、それを聞きましたらこちらにお願いします。」

「わかりました。ありがとうございます。アレンハイドは大丈夫?」

「あぁ、俺も大丈夫だ。」

「それでは、こちらが冒険者カードになります。無くさないように大切にお持ちください。」

「ありがとうございます!」

「それでは、これにて説明は終了とさせていただきます、また何かあればこちらにお越しください。それでは、失礼致します。」

「そんじゃ、俺も行くよ。アレンハイド、マイカ、またな!」

「はい、ありがとうございました!」

2人は去っていった。


「はぁー、ついに私たたも冒険者かー!」

「こうしてみると実感ねぇな」

「クエストとかやったら実感湧くんじゃない?」

「あぁ、だがその前に装備を揃えねぇとな」

「あ!そうだね!でも私お金ないから、簡単な採集クエストとかやろうと思ってたんだけど・・・」

「あーなるほどな。・・・多分、俺のお金で2人分なら何とかなるんじゃないか?」

「え、だって剣とかって結構高くない?」

「そんなことないぞ?剣は1本1500Gだし」

「1500Gってどのぐらい?」

「だいたい安い宿だと1泊50Gぐらいだな」

「え!すんごく高いじゃん!」

「・・・ちなみに俺が10歳ぐらいの時のお小遣いは1ヶ月500Gだったぞ」

ちなみに私が10歳の時ののお小遣いは1ヶ月1000円だった。そこから換算すると、だいたい1Gは2円ぐらいと言ったところか。そうすると、この世界では1泊100円、剣は3000円だ。この世界では剣は消耗品のため、安く設定されているのだろう。

「それにしても宿泊代安いな」

「ん?どうした?」

「いや、私の世界では1泊1万円以上したんだ。この世界で言うと・・・5000G。」

「高っ!?じゃあ剣は?」

「剣は・・・元の世界では使われていなかった。だけど模造刀は2万円・・・この世界では10000Gぐらいかな。」

「模造刀なのに高っ!?」

「あ、すごい話が脱線したね。じゃあ、剣のお金もよろしくね!」

「もちろん!なんてったって俺達はパーティーだからな。」

「じゃあ、武器屋さんに行こっか!」

そうして私たちはギルドをあとにした。

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