第3話 私のステータス

小一時間後。

「ねぇ、アレンハイド?」

「ん、どうした?」

「私達、結構歩いたよね?」

「そうだな」

「街まで1.5kmって言ってたよね?」

「ああ、そのはずだ」

「なんでまだ着かないの?というか、街っぽいもの何も見えないんですけど?」

「ああ、俺も何も見えない。」

「ねぇ、まさか道に迷ったとか言わないよね?」

「・・・道に迷った」

「・・・冗談だよね?私ここら辺何も知らないから迷ったとしても正しい道わかんないよ?」

「・・・それは知ってる」

「はぁー・・・・・・あ!!」

「うわぁ!何!急に叫ぶな!」

私は閃いてしまった!

「そういえばスマホ持ってきてるんだった!」

「すまほ?何それ?」

「もしかしたらその街に着けるかもしれない!」

「え?だってさっきこの辺知らないって言ったばっかりじゃ・・・」

「まぁ、そうなんだけど・・・とりあえず、どの方位に行けばいいの?」

「南だけど・・・」

それを聞いた私はスマホを取り出した。

左上の表示は、圏外だった。

しかし圏外でも時計は動いていた。

・・・そう言えばここの時差はどうなっているのだろう。元の世界は夜だったのに、ここは昼だ。

「何だその四角い箱は?それがすまほとやらか?」

「そう。・・・今何時?」

「え?いきなりどうしたんだ?」

「ちょっと気になって。」

「ふーん。・・・今は午後1時18分だな。」

それを聞いた私が時計を見ると、なんと午前1時18分だった。これなら時計を24時間表示にすれば、慣れるまでに時間がかかるだろうが、何とかなるだろう。

というか時間の概念あったのか、この世界。

さて、コンパスは使えるだろうか。

・・・見ると、太陽のある方向には「南」の文字がしっかりと書かれていた。

「その箱、さっきと絵柄が変わっている!どんな仕組みだ!?・・・って絵柄が動いて!?」

「うん、まぁ、そうじゃないと・・・」

「そうじゃないと!?こんなの地元でも見たことないぞ!?」

どうやらこの世界のIT技術は未発達らしい。

「そうなの。とりあえず、南はこっち」

「こっちって・・・この変なの読めんのかよ!」

「え?読めないの?」

「見たことすらない。異国の言葉か?」

「あぁ、うん、そう。」

そこまで言ったところでふと思った。

あれ、私、異世界の人と普通に会話してる?

そう言えば、ここに来たばっかりの時にスキルとか称号とか何か言ってたような。

きになったので、道中に聞いてみた。

「ねぇ、スキルとか称号とかって何?」

「え?今までそれ知らないでよく生きてこれたね?」

まぁ、さっき来たばっかりなんで・・・とは言えないので、

「まぁ、ね。」

と答えた。

「称号ってのは、なんていうか・・・例えば、何かを成し遂げた時に、ドラゴンを倒したら『ドラゴン殺し』みたいに、自分が何をしたかが簡単にわかるもの・・・かな」

「へー。」

何だかゲームみたいだ。

「じゃあスキルっていうのは?」

「スキルは、獲得すると何かしらの効果があるもの、かな。そのスキルに関する行動をしていると手に入ったりする。スキルを使い続けると進化するものもあるな。」

ますますゲームみたいだ。

「スキルとか称号とかってどうやって見るの?」

「『ステータス』って言えば見られるはずだ。」

「へー。ステータス!」

そう言うと私の前に画面が現れた。

もうゲームの世界にしか思えなくなってきた。

そんな私のステータスは、

和泉 舞華(イズミ マイカ) Lv.1

HP 50

MP 99,999(自動回復50/1s)」

称号

異世界人

最初の1歩


スキル

多言語理解

読み書き

鑑定

瞬間移動

敏捷性

自動回復

絶対防御

絶対攻撃

写真記憶

鍛冶職人

天才的思考

器用


これは・・・

「どうだ?・・・ん?どうした?」

「私のステータス・・・」

「あー、最初はみんな低いから気にすんな!」

「いや、なんかおかしい・・・」

「ん?どれ、見してみ?」

うーんと、ゲームなら・・・

「ステータスオープン!」

「ステータスの見方知らないのにステータスオープンは知ってるのか・・・って、えぇ!?いや、スキルの数多っ!」

「これ全部どんなスキルか分かる?」

「いや、さすがに全部は・・・あ、鑑定してみたらいいんじゃないか?」

「鑑定?」

「見たいと思ったものがどんなものか分かるんだ。」

「ふーん。鑑定って言えばいいの?」

「あ、ああ。」

「鑑定!」


鑑定結果


称号


異世界人

異世界から来た人に贈られる。


最初の1歩

この世界への1歩を踏み出した人に贈られる。


スキル


多言語理解

異世界人がこの世界の人と話せるようになる。どの言語も対象である。


読み書き

行った国の言語を読み書きできるようになる。


鑑定

獲得した称号、スキルの効果と目で見た人、物のステータスがわかる。


瞬間移動

1度言ったことのある場所へならどこにでも一瞬で移動できる。


敏捷性

すばやさがとても上がる。


自動回復

魔力(MP)が減っていた場合、1秒間に50回復する。魔力回復量はレベルアップすると増加する。


絶対防御(自動結界バージョン)

常に結界を張り、自分を襲うあらゆる攻撃から身を守ることが出来る。攻撃は結界によりはね返る。消費魔力は0。


絶対攻撃

当てようと思った攻撃はどんな攻撃でも必ず相手にダメージを与えることが出来る。攻撃力はレベルと力によって変化する。


写真記憶

1度見たものはまるで写真のように絶対に覚えることができる。


鍛冶職人

武器を自作することができる。


天才的思考

頭の回転がとても早くなる。


器用

道具、魔法、その他色々の使い方を覚え、すぐに使いこなすことができる。


・・・何これ。

なんか強そうなスキルばっかり。

というか(自動結界バージョン)って何だ。

しかも「とても」とか「その他色々」とかもう少し細かく書いてよ。

そして魔力はMPなのか。ステータスの書き方とかまさにゲームだな。そんなにゲームやったことないけど。


「お、終わったか?鑑定した結果どうだった?」

終わったことに気づいたアレンハイドが近づいてきた。

あ、いいこと考えた。

「ねぇ、アレンハイド」

「何だ?」

「私のこと、思い切り殴ってくれない?」

「い、いきなりなんだ?俺はそんな趣味無いぞ!」

「んー、ちょっと試したいことがあって。」

「わ、わかった。じ、じゃあ、いくぞ?」

「OK」

「うぉぉおりゃあぁぁ!」

ぼよよ~ん。

アレンハイドの拳は私に近づくと、いきなりマヌケな音を立ててはね返った。

「いや音!音ダサすぎ!」

「いやそこじゃないだろ!え?え?何だこれ?俺の拳が跳ね返ったぞ?」

「だってスキルが正常に作動しなかったら嫌だし」

「どんなスキル持ってんだよ、こいつ本当に人か?」

・・・今少し失礼な言葉が聞こえた気がするけど気にしないでおこう。

そんな会話をしているうちに、青く尖った屋根がたくさん見えてきた。

「あ!ねぇ、アレンハイド!あれ、街じゃない?」

「おお!本当だ!すごいな四角い箱・・・」

「これでご飯が食べられる!」

「よし、早く行こう!」

私達は街へと急いだ。

・・・ん?何か忘れているような。まぁ、いいか。

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