04
ふう、青空が美しいですね・・・
どうもこんにちわ、皆さんの花さんですよー!
あれからというもの、休むといってずっとぐーたらしている竜のせいで狩りはできずに、ただただ時間が過ぎていくのみという恐ろしいほど暇な時を過ごしています。
魔物を寄せようとして粉を出しても風で飛ばされる。
そしておなかがすいたとわめけば、どこからともなく魔石を調達してくるんです。
もはや餌付けされている気分。
いや実際餌付けされてるんだろうな。
さすがに自分の精神衛生上よろしくないので、抗議しました。
狩りをさせろ!
経験をつんでレベルを上げさせろ!
すると・・・
『お前はもう今のレベルは上限にいってるぞ。これ以上レベルは上がらないんじゃないか?』
っていわれた。
なんで私も知らないことを知ってるんだ!!!
っと聞いてみれば
『我ら竜族には固有スキル【竜眼】がある。これは相手を・・・そうだな、鑑定することができるっていう方が分かりやすいかな。まぁ他にもいくつか効果はあるが、その効果のうちの一つだ。』
なにぞれずるい。
『え、竜族全員もってるのそれ?』
『竜族全員が持ってるかというのは難しいな。正確には竜族全員が持っているが使えるものはそんなに多くはないだろう。【竜眼】はそれだけ扱いにくいスキルだ。』
『なるほど・・・。』
『話をもどすが、お前はもうレベルは上限になっている。もうこれ以上経験を積んだりする必要はないだろう。あとは進化をするために魔力を貯めるだけだ。』
『進化!?』
『ああ。種族によってある程度色々制限があったり、条件があったりするが、まずは魔力を規定値以上溜める必要があるだろう。』
『へー。』
そんなんしらんかった。
『俺がお前に魔石をやってるだろう?あれをずっとしていれば通常より早く規定値を越えるだろう。そうすれば進化できるはずだ。』
『はぁ・・・』
制限とか条件とかはすっとばしてるけど大丈夫なんだろうか?
これで戦闘経験を一定数以上こなすとか条件にはいってたらどうしようもないぞとか思うんだけどね。
『で、竜さんはいつお帰りになるんですか?』
『俺の気が済むまでだ。』
まだ帰らない模様。
そんなわけで、竜さんはまた魔石を取りにどっかいきました。
この時が私の一人の時間です!
固有スキルとか私には今のところなかった。
もしかして特技とかの【蔓攻撃】はそれにあたるんじゃないのか?ともおもうけどどうなんだろうか。
ただ特技だけあって好きなように動き回る蔓は自分の動きたいとおもう動きを素早く再現してくれている。
植物にも固有スキルってあってもいいとおもうのよね。
んー。
植物っていえば、葉っぱや花だけじゃなくて根っこもあるのよね。
根っこか・・・
雑草とよばれる植物って根っこがあるとまた復活したり、根っこがどんどん伸びて色んな所に増えて行ったりするわけじゃない・・・?
根っこを伸ばせば花をふやせるのでは?
ズズズズズ・・・
なんだかむずかゆくなる。
そして、体がこう伸びていく感覚。
あ、根っこ伸ばしてるのか。
私の【感覚探知】で見れば当たり周辺にどんどん根がのびていくのがわかる。
なんだかすごい植物っぽい!!
私のいるところからこの池の周りの森の広場はすでに私の根が張り巡らされ、さらにどんどんと深い木々のほうにも根が侵食していくのがわかる。
他にも花咲かせられるかな・・・?
そう思うとそれぞれの根の感覚がなんだかむずむずしてきて、気が付けばポンポンとそこら中に芽がでてきた。
それは急速に育ち、気が付けばあたり一面コバルトブルーである。
は、花が咲いた!!!大量!!
≪スキル【根操作】【増殖】をおぼえました。熟練度が上限のため特技に移動します。≫
おおう!?
特技って熟練度が高いスキルのことだったのか。
つまり私が今覚えているスキルは・・・
────────────────
◆使用中スキル
【魔力探知】
【感覚探知】
【斬撃耐性】
【念話】
◆使用可能スキル
【麻痺の粉】
【毒の粉】
【誘惑の粉】
【眠り粉】
◆特技
【蔓攻撃】
【麻痺の蔓】
【毒の蔓】
【根操作】New
【増殖】New
─────────────────
ふっとまた自分のスキル一覧が浮かぶ。
これ、スキル一覧はうれしいけど、自分自身の事は全然考えても浮かばないのよね。
なんでかな。
まぁいいや、そのうちわかるでしょ。
とりあえず、この目の前の美しい自分の分身たちをどうしよう?
せっかくだから色々試したいのよね。
この花全部が【誘惑の粉】をだしたらどうなるのかな・・・やってみたい・・・!
【誘惑の粉】!
すると咲いていた花々全部からふわっとうすピンク色の粉が舞い上がり、周り一面がピンクの霧が舞うような状態になった。
これはすごい。
これならこないだの熊さん魔物を倒すのも簡単そう。
問題は蔓攻撃よね。
蔓系は基本池の中で待機してるけど、他の花には蔓なんてなさそう。
そもそも私から伸びた根から咲いてるわけだから、分身というか娘?みたいなものなのかな・・・
いや、意識は私だから娘っていうよりは分身か。
根をはりめぐらせればざっくりとしたことが魔力探知や感覚探知でわかるけど、花を咲かせればしっかりわかることが分かった。
これなら根をどんどん張っていき、等間隔で花をさかせれば索敵にも一役買いそうだ。
意識すれば他の咲いた花に自分の感覚を持っていくことができるから、なんていうかな、沢山目が出来た感じである。
ちょっとこれは楽しくなってきたかも・・・!
どんどん根っこを広げてこの森全体を掌握するのも楽しいかもしれない。
そんな風に夢に心を馳せていれば、空から強い風が吹き荒れた。
ピンク色の霧はどんどんと霧散し、気がつけばいつも通りの正常な空気がながれている。
あ、いやな予感がする・・・。
ふっと意識を上にむければ案の定、怒りのオーラをまとった白い竜が空にいた。
『私のいない間に何をしているんだ・・・。なんだこの花は・・・。』
半分呆れたようにぶつぶついいながら降りてきて、手に持った魔石を地面に置くとふっと人型にかわった。
『なんでその姿に?』
『竜のままでもいいが、この姿の方が小さいからな。手加減しやすい。』
『どういうこと───』
私が全部言い終わる前に竜は右手をすっと横に一閃した。
ザッ
軽い音とともに、私が増殖で咲かせた花たちが一瞬で刈り取られる。
2、3回それを行えば、あたりを埋め尽くしていたコバルトブルーはすっかりなくなり、元の苔むした地面がむき出しになった森の広場にもどっていた。
自分の分身が切られたわけだが、不思議と辛い気持ちはなかった。
それにそもそも植物だからか痛覚がない。
ただイタズラをみつかってそれを始末された・・・そんな感覚だった。
『えー。せっかくできたのにー。』
『えー。ではない!まったく魔力の無駄遣いをして・・・。さぁ魔石だ。』
軽く手をパンパンとはたくと、持ってきた魔石を拾い、改めて池の中に沈めてくれた。
今日の魔石は空より薄い水色をしていて、やっぱりおいしかった。
『早く進化するんだぞ。』
そういうと人型から元の竜の姿に戻り、定位置である私の咲くところにある岩場へ頭を置いて丸くなっている。
ううむ、私が竜から解放されるのはいつになることやら。
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