03

どうもどうも皆様こんにちわ、貴方の花さんですよ!

さてさて、あれからというものずっと魔物を引き寄せちゃー魔石をもぐもぐして生活しています。

あの後結局、私のレベルがいくつなのかとかはよくわからなかった。

と、いうよりはすぐに次のごは・・・もとい、魔物がやってきてしまって、ソレに夢中ですっかり今まで忘れていました。

かといってですね、いまソレを調べる時間はないのです。

っていうのもですね・・・


頭上に白銀に輝く竜がいるんですよ。竜。

竜ですよ、ドラゴンですよ。溢れんばかりの魔力はとーぉっても美味しそうですけど、ほんとに。

ほんとに美味しそうですけど、同時に勝てる見込みがこれっぽっちも感じません。

はっきり言って私がこの世から抹殺される未来しか見えなくらい実力差があります。


そんな白銀の竜はずっと私の頭上を飛んでこっちをみているのです。

もう、どっかいってくれませんかね、ココに来なければなにもしませんよ。


そう思ったら地面にドスンと竜が降りてきた。


・・・降りてきた?


なんで帰らないの。なんでココにくるの!

しかも、バッチリ私が魔物だとわかっているようで、視線をこっちから外さない!!


ええい、こうなれば先手必勝!

【麻痺の粉】!


あたり一面に麻痺の粉を散布する。

するとその行動にすぐ気づいたのか、ドラゴンはその美しい羽を大きく広げてバサバサと羽ばたかせた。

羽によって生まれる風はまたたく間に麻痺の粉をどこかに飛ばしていく。


・・・おいおい、私の天敵なのではあるまいな?


じっと睨むように見つめれば、グルルルと喉を唸らせるのみで。

これは戦闘態勢ってやつですかね?

私だって死にたくないから、その構えにはとことん応じますよ!!!


水の中から無数の蔓を出す。


蔓はわさわさと現れればその次の瞬間、竜に向かって一斉に牙をむく。牙はないけどね!!

蔓のなかには毒性をもつやつだっている!これで少しでも傷つけられれば勝てる!




そう思ってた時期も私にはありました。


白銀の竜は息を吸い込み、そして吠えるように口を開けるとそこから炎のブレスが蔓を襲った。

蔓は無残にも灰になっていく・・・。


火力やばい・・・。

私、勝てないわ・・・死ぬわ。


もはや覚悟をきめていたとき、竜は私の方をまたじっと見ていた。

そして


『聞こえるか?青い花の魔物よ。』


あ、なんか聞こえる!

聞こえてます、聞こえてます!


『ふむ、一応反応はあるか。念話は習得していないのか。この際だ習得したほうがいい。』


どーしろってんだこのトカゲめ、偉そうに。


『おい、なにか悪口がきこえたきがするぞ?』


きのせいです。カッコイイきれいな色の竜さんだなとおもってました!


『まあいい、念話をおぼえるんだ。ざっくり言えば気持ちを相手に送るということだな。』


気持ち・・・気持ちねぇ・・・


『戦ったせいでお腹空いたーっ!!』


≪スキル【念話】を獲得しました。≫


うそだろおい。


『なんだ出来るじゃないか。』

『たった今できるようになりました。』

『ふん、嘘なんかいっても仕方ないというのに。それよりも聞きたいことがあるのだが。』


人を嘘つき呼ばわりだと!

それよりもだと!

わりと重要だと思うんだけど!!!


『お前はこのあたりで狩りをしているだろう?』

『まぁ生きるために必要なので。』

『このあたりで人型の生物を狩ったり、竜族を狩ったりはしていないか?』


竜族はわかる。

こいつと同じような姿目をしている奴だろう。たぶん。

ヒトガタってのはなんだろう?


知ってる気がするけど、よくわからない。


『すみません、ヒトガタってどんなのですか?』

『仕方ない見せてやろう。』


そういうと目の前の偉そうな竜がいきなり輝きだし、光がなくなったと思えばそこには先ほどの竜の質量とは似ても似つかない姿の生き物がたっていた。

所々キラキラした鱗が見える白い肌に二足歩行なのだろう、すらっと伸びた足。


手もまたすらっと伸びていて、頭部には真っ白な長い毛が生えている。いや、


そして竜と同じ金の瞳をもっていた。



『どうだ、これが人型だ。食ったことはあるか?』

『いえ、そういう形の生き物や竜族は食べたことないです。でも、こうして自分の意識をちゃんと持ったのがつい最近で、それまではどうだったか覚えてません。』


正直つい最近気づいたのだ。花だと。

食べてたかどうかなんてわからないし・・・まあ目の前の池が罠として機能するくらいになってるくらいだから、ある程度生きてたんだと思うんだよねぇ。

だから、そのある程度の過程で食べていたら申し訳ないけど覚えがない。



『ふむ。私はさがしものをしていてな。すまないが休ませてもらうぞ。』

『あぁ、はい、どうぞ。』


私が許可をする前にはもう私の近くの岩場のところまできて竜型にもどると、その顎を岩にのせて大きく丸くなって寝息が聞こえてくる。


はやっ!


寝るのはや!


っていうか、帰れとかホントは思うけど、怖いから仕方ない。


さて、おなかすいたしまた魔物でも呼ぶか。



【誘惑の粉】!


ほんのりうすピンクのその粉がふわっとあふれて空気中に散布されていく。

さぁ魔物さんはやくこいこい~~~

粉がどんどん広まっていったところで──


バサァッ


竜が羽を軽くはばたかせ強い風が吹いたと思うと、粉が一瞬でどっかに消えてしまった。


・・・


・・・?


【誘惑の粉】!



バサァッ



・・・。


【誘惑の粉】!


バサァッ


・・・・・・・・・・・・・・。




こんのぉクソトカゲが!!!!!


あいつ絶対わざと邪魔してる!

絶対そう!!!

それともなに、あの羽自動で動くの?違うよね?意識的にやってるよね?

なんなの、あのトカゲ。

人の生活邪魔したいの?




『あのー。やめてほしいんですけどー。』

『・・・。』

『ちょっと!聞いてます!?』

『・・・。』

『私の生活の・・・邪魔をするなっていってるのー!!!』

『うるさい。変な粉を出されたら飛ばすのは当たり前だろう?』

『あなたの方にあまりいかないように心がけてたでしょ!』

『ふん・・・そもそも、その水があるのに狩りをする必要はないのではないか?』

『誰かさんが焼いた蔓を回復したせいでおなかすいてるのよ!とにかく、邪魔しないで!』


このトカゲ、ホントに何様だ。



『仕方ない、ちょっと待ってろ。』


そういうと竜は羽をはばたかせ、空高く飛び上がるとそのまますごい速さでどこかに飛んで行ってしまう。


いいねいいね、邪魔なのがいなくなったよ!


【誘惑の粉】!


居なくなったのを見てすぐ粉を振りまく。


ごっはんごはーんおなかがすいたー♪


脳内で歌を歌いながら体を・・・揺れないけど揺らしているつもりでいると、チラチラと魔物が近づいてくる気配がした。



いいねいいねいいねぇ!

ご飯がやってきたよおおおお!


おなかがすいてテンションがおかしくなっていると、目の前に魔物の姿が見えた。


この間も見かけたイノシシのような魔物だ。


こっちにこい・・・


わくわくしながら見ていると、ぴたっとイノシシの動きがとまった。


その視線は空を見ていて、どんどん震えあがり、じりじりと後ろに下がったと思ったらそのまま逃げて行った。


・・・逃げて行った?



なんだ?と思った瞬間、頭上からすごい風がふいて誘惑の粉がまた霧散していった。


『なぜ、ちょっと待ってろといったのにこんなことになっている?』


上から降ってくる声はあの、腹立たしい羽根つきトカゲの声だ。


『むしろなんであんた私の生活圏に居座ってんの・・・?』



ゆっくりと降りてくる竜を目が合ったら確実ににらみつけていると思う。

そんな竜は私の気持ちなどまるで気にした様子もなく、ふんと鼻を鳴らしながら片手に余るほどの大きさの魔石を私に見せた。


紫色にキラキラ輝くその魔石はとってもおいしそうだ。


『ほら食え。』



竜はそういうと私の話をきかずに水の中にドボンとぶち込んだ。

水が大きくはじけて、地面を濡らす。

そして私の体は私に反して水に落ちてきた魔石を大喜びでむさぼっていた。



そう、胃袋が満たされる・・・!

胃袋があるかどうかは分かんないけど。


『たまに私が魔石をもってきてやろう。だから周りの魔物を引き寄せることをするのはやめるんだ。いいな。』




狩りの時間をうばわれました。

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