第100話 静けさ

親愛なる栗山Rui様


私達の接点は今から遡ること


数千年前のことになります


あなた様は特別転生者として


地球にいらっしゃっていて


そこで成し遂げなければならないことが


おありでした


あなた様は非常に頭脳レベルが高い魂


この世界でもその頭脳を存分に


発揮されておりました





しかしあなた様は恋をしてしまったのです



それは頭脳だけではどうにもならないこと


でもどうしてもその恋を、彼女を


独り占めしたくなったあなた様は


やはりお得意の頭脳を使って


ある世界とこの世界とを繋げて


その女性の心を自分に向けようと


試みたのです





その時です


実は我々も下にいまして


あなた様が繋げる作業をされた時に


我々の世界も一緒に引き上がったのです


それにより我々は今この場所に


留まることができているのです





我々にとって上に引き上がることは


とても困難なことであり


少々困り果てておりました


あなた様が引き上げてくださったお陰で


一気に問題が解決致しました


ですから感謝してもしきれないのです





次は我々の世界でともに新しい世界を


築きあげていきませんか


色々と今後の計画があり


それにはあなた様の頭脳が必要不可欠





それから最後に


望みを叶えられないと


思っておられるのですね


我々を見くびってはいけません


不可能はないのです


Rui様、あなたのお望みは


亡くなったお母さま、ですよね?


蘇りをして差し上げましょう


詳しくはそちらの世界で


お互いに姿のある状態で話をしましょう


良いお返事お待ちしております





メッセージが一件届いています


また、来た


なんなんだ、一体


数千年前?


特別転生者?


輪廻転生はほんとにあるとでもいいたいのか


俺には特別転生者と呼ばれる時の記憶は


全くない





地球にいらっしゃっていて


俺はどこかから来たということなのか


突然こんなことを言われて


パニックでしかない


もしこの話が本当だとして


俺は記憶がないのか


よく亡くなると記憶はリセットされると


聞くが、そういうことなのか


特別ということは普通もあるのか 





恋をしたらしい、俺


一体誰に?


自分のことなのにさっぱり分からない


なぜか相手は俺のすべてを知っているような


素振りだ


相手は一体どんな世界で


どんな能力を持っているんだ





蘇り


蘇りってまさか母さんを


亡くなった母さんを


蘇えらせることができるとでもいうのか


嘘だろ


そんなことあり得るはずがない


が、彼らは世界が違う


それができるというのか


不可能なことはない





その代償が新しい世界を築くこと.....か


新しい世界


この世界とは違う、新しい世界


善なのか悪なのか、その世界は


おそらく後者だろう





カチャカチャ


特別転生者としての記憶は全くない


ないが、もしそれが事実ならば


俺はあなた方の世界を


この地球と変わらないレベルまで


引き上げたのでしょう


信じられない話だが


特別転生者ということは


普通転生者も存在するということなのか





正直、新しい世界を築く決断は


まだできていない


あなた方の世界がどんなものか


把握できていないから


ただ、会って話をしてみたい気持ちはある





本題だ


不可能はない


蘇り


母さんはこの世界にはもういないが


母親を生き返らせることができるとでも


いうのか


常識で考えたらできる訳がない


その代償が新しい世界を築くこと


普通は寿命が縮まったり


いわゆる地獄のような世界に行かされたり


魂と引き換えにみたいなものを


想像していたんだが





「Rui様から返事が来ました」


「反応はどうだ」


「はじめとは違ってかなり好感触です


まだ我々側につく決意は


していないみたいですが


我々と会うことを希望されています


やはり蘇りが効いてるみたいです」


「それはそうだろ


Ruiのお望みは母親だからな」





「Rui様、なかなか面白いです


代償は寿命や魂や地獄に落ちると


思っていらっしゃるようで」


「それは面白いな


我々に魂も寿命もない


地獄?ここが地獄かと聞かれたら


今は確かに


司令センターに押されていることもあって


姿形は人間の手前


呼吸はしづらい


何もない、あたり一面真っ暗ではあるが


Ruiの手をかりれば新しい世界が築ける


地球を乗っ取るのが最終目的だからな」





「地球を乗っ取る、なんと大胆な計画


不可能に近い気が」


「何馬鹿なことを言っている


我々にはそれしか生き残る道がない


地球は今3次元にいる


おそらく司令センターは地球の次元を


さらに上げようとしているはずだ


もし地球が4次元にでも移行してみろ


我々がその次元まで上がることは不可能だ」


「不可能」





「そうだ


いいか、次元が上がるごとに


我々のような者が存在しない


存在できない世界になっていく


何としても地球を今の3次元に


留めておく必要がある」


「なるほど


なんだかすごいことになってきましたね」


「お前は今まで何を見てきたんだ」


「もちろんこの世界のために


やって参りました


もちろんこれからもその予定であります


しかし、地球には地球人がおります


我々と共存することは不可能かと」





「共存などしない、我々だけが住むのだ」


「それはなんとも素晴らしいですが


なんとも難しい話」


「そのために地球に


我々の闇因子を持つ人間を派遣している


地球はすでに闇と光が共存している状態だ


あとは闇に転がり込む人間を


さらに増やす必要がある」


「転がり込む」





「人間はおろかだ


ちょっとしたことで争いを起こす


戦争なんかもそうだろう


闇の世界で取引をしている人間も


いるだろうが」


「確かにそう考えていくと闇は


あらゆるところに存在しますね」


「そういうことだ


我々が地球に住むには


闇因子の割合をさらに増やす必要がある」


「まだまだ時間はかかりそうですね」





「何、考えはある


後はタイミングだ


まずはRuiに連絡だ


今から準備期間に入る


人間と遜色ない姿になる必要がある


準備期間は地球時間でいう1週間だ


Ruiに1週間後に会いに行くと連絡しろ」


「かしこまりました


いよいよこの時がきましたね」


「あぁ」


「地球人には名前があります


我々にも名前をつけましょうか」


「名前か?考えておく」





親愛なる栗山Rui様


早々のお返事ありがとうございます


さすがは頭脳レベルの高いRui様


ざっと話しただけですが


大体のことは理解されているように思います


我々はあなた様と取引をするのでは


ありません


あくまでも我々側の人間として


何度も申し上げておりますが


新しい世界を築きあげていくのですともに


この世界で





ですからあなた様の寿命は変わりませんし


魂を奪うようなこともしません


我々側になれば


そのようなものも関係ないのです


地獄?


地獄とは一体どこを指すのでしょうか


ここが地獄なのか天国なのか


決めるのは各々なのです


我々は我々が天国と思える世界を


ともに築きましょう





お母さま蘇らせて差し上げます


さてあなた様にお会いする日は


本日から1週間後の7月7日から3日間


7月10日まではいかがでしょうか


待ち合わせ場所は


今はまだ決めることができません


今日から1週間の準備期間の間に


我々がどのレベルまで仕上がるかによって


変わってきますから


前日の段階で


あなた様にまたメールを差し上げます


ではお会いするのを心待ちにしております





返事が来た


母親を蘇らせることが.....


本当にできるらしい


やはり彼らはいわゆる闇の世界のような


人物だろう


寿命もなければ魂もない


その世界に俺は呼ばれているのか





新しい世界を築くこの世界で


この世界はどの世界だ?


どの場所を指している?


彼らの世界?


それともこの世界、もしかして地球のことを


指しているのか


もしかして乗っ取るつもりか


いや、そんなことができるはずがない


いや


母親を蘇らせることができるぐらいだ


ならば可能なのかもしれない





彼らは闇の世界の母体のようなものなのか


ということは


地球を司る母体のようなものも


存在しているのかもしれないな


あくまで推測だが


どのレベルまで仕上がるか


肉体を持っていないのか


それとも人間とは違う姿をしているのか


とにかく1週間後だ
















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