第99話 すれ違う

Ritoくん、こんばんは


国際学部のReilaです


もちろん覚えていますよ


私の中ではRitoくんは、かなりのインパクト


今は明日の課題をやってました


Ritoくんは何してますか?





男の人とメールなんてまともに


したことないから


こんな内容でよかったのかな


もっと面白いこと書けば良かったかな


うーん、よく分からない





Noriko「Reiちゃん


さっきからうなってるけど、大丈夫?」


Reila「えっ、声出てた?」


「うん、ずっとね」





Rito


うわ、Reilaちゃんからメール来た


って俺が送ったんだけど


今何してますか?


漫画読んでました、じゃあいまいちだから


本読んでましたとかにしてみる?


いや、それは嘘だしな


もしReilaちゃんが読書家で


どんな本読んでるのって聞かれたら


ボロが出るしなぁ


俺も今、パソコンで課題やってました


俺の見栄っ張り





ピコン


そうなんですね、同じですね


明日はまた授業一緒の日ですね


会うの楽しみにしてます





Rito


メールが返ってきたー!


世の中の人たちはこんなに楽しいことを


していたのか


メール相手が男子から女子に変わるだけで


こんなに何気ないメールが


こんなにもスペシャルになるとは


しかも最後の文


会うの楽しみにしてます


楽しみにしてます


嘘だろ


明日どんな顔して会ったらいいんだよ




Seia


Seia「雨宮さん」


Miku「.....」


「雨宮さん、雨宮さん」


「うるさいな、何よ」


「おはよう」


「はぁ、それだけ?」


「いや、ほんとは話したいこと


たくさんあるけど


雨宮さんは聞きたくないだろうなと思って」





「そこまで分かってるなら


話しかけてこないで」


「それは難しい、気になるから」


「気になるって何なのよ」


「何だろう、何でだと思う?」


「私に聞かないでよ、私もう行く」


「うん、また明日ね」





Seia


行っちゃった


いや、よく考えたら


話の内容はともかくとして


会話のキャッチボールはできてた気がする.


Mikaちゃんの時だって


はじめはひどいもんだった


明日も話しかけよ





Miku


もう、あいつは何なのよ


手元に日記がないことが残念なくらい


あいつのお陰で最近の私の日記が


にぎわってきたわ


私は穏やかに過ごしたいのよ





Rito


Fumiya「Rito、今日前の方に座る?」


Rito「えっ、何で」


「何でって、お前この前すごい勢いで


話しかけてたじゃん


俺もお前の勢いに圧倒されて


連絡先ゲット!


国際学部のShioriちゃんね」


「いや、だからって


近くに座る必要ないだろ」


「お前、あの勢いはどこにいったんだよ」


「とにかく俺は今日も後ろに座る」


「はいはい、じゃあそうしよ」





Rito


昨日メールで会うの楽しみにしてます


なんて言われたから


緊張して挨拶どころじゃない


今日はおとなしく過ごすか





Shiori「Reila、この前の人」


Reila「えっ、あぁほんとだね」


「あの二人双子だよね、名字一緒だし


二卵性かな、あんまり似てないよね」


「うん、そうだね」


「連絡先聞かれたんでしょ」


「うん、Shioriも聞かれたんでしょ」


「うん、あっこっち見てる


手、振ってみよっか」


「ほんとだ」





Shiori「Fumiyaくんに突然話しかけられて


はじめは戸惑ったんだけど


メールしてみたら案外爽やかで


いい人だったんだよね」


Reila「えっ」


「Reila聞いてる?」


「あっ、ごめん聞いてなかった」


「もう、Reilaってちょこちょこ


私の話聞いてないよね」


「そんなことないよー」





Reila


気のせいかな


さっきRitoくんに


目を逸らされた気がするんだけど


気のせいだよね


それとも昨日のメールまずかったかな


でも大したこと書いてないよね





Rito


だめだ、緊張してReilaちゃんのこと

 

まともに見れないや


さっきとっさに目を逸したのバレたかな


今日は授業終わったらとっとと移動しよう


緊張で今日は話せそうにない





Seia


Takuto「Seia、何回目だよため息」


「俺ため息なんかついてた?」


「いやいや、今日ため息しか聞いてないぞ


俺の話全く聞いてないし


もしかして失恋でもした?」


「してねぇよ」


「そんなにむきになるなよ」


「なってねぇよ」





Seia


失恋はしてない、まだ


告白はしてないから


まぁ、振られたようなもんか


会話することすら避けられてるんだから


うわっ、このタイミングで雨宮さん


隣にTakutoいるし、気づかないふりするか


どうせ話しかけたって


睨まれるか、うっとおしがられるだけだ


それにTakutoに知られると


色々と面倒くさい





Miku


出た、法学部の誰だっけ?


名前忘れちゃったわって


えっ


朝あんなにしつこく話しかけてきたのに


午後は無視なの?


何なのよ、一体


ほんとにイライラする


やっぱり罰ゲームだったのね


迷惑な話


二度と話さない、あんな奴と





Rito


キーンコーンカーンコーン


Fumiya「よし、授業ようやく終わり


Shioriちゃんたちに話しかけにいくか」


Rito「えっ、俺今日はいい」


「お前今日どうしたんだよ」


「いや、別に次の授業実験だから


早めに行かなきゃいけないんだよ」


「そうなの?俺じゃあ話しかけてくる」


「あぁ、またな」





Fumiya「Shioriちゃん」


Shiori「Fumiyaくん、あれ双子のえーっと」


「あぁ、Rito?


次の授業実験らしく早く行かなきゃって


とっとと行っちゃったよ」


「そうなんだぁ」





Reila


やっぱりRitoくん私のこと


避けてる..... よね


どうして?


昨日のメールがやっぱりまずかった?


何かがっかりさせたのかな


だとしても理由が全く分からない


こんなことになるなら


あの時、連絡先を聞かれた時


断われば良かった


はぁ




Miku


バサッ


今日の朝またあの


訳の分からない法学部の子が懲りずに


話しかけてきた


何度冷たくあしらっても


本人は気にしてないのか


怒ることなく毎日話しかけてくる


私のことよく知らないくせに


私の過去もよく知らないくせに


まぁ、私も彼のことよく知らないけど


彼の過去もよく知らないけど


今日はこれで終わりじゃない


続きがあるんだった





午後またまた廊下ですれ違った


話しかけてくるのかと思いきや


今度は避けてきた


明らかに目が合ったのに


朝とは打って変わって挨拶すらなし


私があまりにも冷たいから


諦めたってことなの?


それならそれで都合がいい


私は仲良くする気は一切ないんだから


そうよ、これでいいのよ


これでまた勉強に打ち込める


私には


やらなきゃいけないことがあるんだから


あんなのに構う暇なんかない


今日の日記はこんなもんかなぁ





Rito Seia


はぁ


今日あからさまに避けちゃったなぁ


Reilaちゃん

      さすがに気づいただろうな

雨宮さん


もしかして今頃怒ってるかな


どうしよう


Rito メールで謝ろうかな


Seia 連絡先知らないしな


明日会ったらどうしよう


はぁ








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