第95話 再会
Rito Reila Seia Miku
大学4年の春
Rito
Fumiya「Rito、早く行こうぜ」
Rito「あぁ、Fumiya今日1限から?」
「そうだし、1限たまたまRitoと同じ
授業じゃねぇか」
「そういえばそうだった
選択で国際学部の授業にしたんだ」
「これだけだよな、国際の授業」
「そう
時間割組むのにちょうどいいから
とりあえず選択した」
「やばい、時間早く行こうぜ」
Reila
今日から新4年生
と言っても学年が上がっただけで
何も変わらない
最近の不安はただ一つ
おばぁちゃんの体調が優れないこと
以前より寝てる時間が長くなった
年だから仕方ないのかもしれないけど
去年の今頃はもっと元気だったから
その差が辛い
「おばぁちゃん、学校行ってくるね」
Seia
あっという間に4年生
将来の夢もなければやりたいこともなく
ここまできてしまった
学部は法学部
ひたすら法律の勉強をして
弁護士になるわけでもないのに
これからどうしようか
周りがやりたいことがはっきりしている中
俺はというと白紙状態
ふと思う
俺は特別missionで降りてきてるから
人生設計とかしなくていいのかと
したところでmissionが終われば
上の世界に帰るんだから
Miku
ようやく4年生
この世界で弁護士になるには
ストレートでいってもあと3年もかかる
大学院に2年通って司法試験に合格して
1年間の司法修習時代を経てようやく
弁護士になれる
道のりは長い、気が遠くなりそう
別に弁護士になりたいわけじゃない
ただ先輩を轢いて逃げた犯人を
捕まえたい、それだけ
先輩待っててね
必ず私が犯人を捕まえますから
ううん
捕まえさせてください
それが私の生きる理由だから
Rito
Fumiya「Rito、どこ座る?」
Rito「一番後ろの窓際」
「こんなに広い部屋で聞こえねぇよ
まっ、いっか」
「そういえば、Rito
好きな子できた?」
「高校生かよ」
「気持ちは高校生のままだよ」
「いや、できない」
「Rito、今までの人生で
誰か好きになったことある?」
「余計なお世話だよ
Fumiyaはどうなんだよ」
「俺は好きな子いるよ
しかもこの授業も出てるはず」
「国際の子?」
「あぁ」
「だからお前、選択授業
やたら国際の授業とってるのか」
「まぁ、そんなとこ」
「不純な動機だ」
「学生なんてそんなもんだよ」
「名前は?」
「知らない」
「えっ、話したことは?」
「ない」
「何にも知らねぇじゃねぇか」
「まぁな
卒業までに必ず仲良くなる」
「その子、どこに座ってる?」
「一番前の席」
「あぁ、あの三人組の」
「そう、真ん中」
「へぇ、あの子ね」
「Rito、横取り禁止だからな」
「しねぇよ」
「いや、双子だから
案外好み一緒かもしんねぇじゃん」
「大丈夫だ」
(俺は恋愛は諦めてるから
特別転生者だからとは言えないしな)
Seia
Takuto「Seia、久しぶり」
Seia「おう、Takuto」
「お前付き合い悪いんだもんな
最近ますます」
「そうか?
バイトと課題に追われてたんだよ」
「法学部忙しそうだもんな常に」
「まぁな」
「弁護士になるのか、将来」
「いや、特に決めてない」
「珍しいな、経営の授業受けるなんて」
「たまにはな
法学部の授業固いのばっかりだからさ」
「確かに
毎日法律の勉強じゃ疲れるよな
たまには合コン行こうぜ」
「たまにはってお前しょっちゅうだろうが」
「そんなことねぇよ」
「今だに頻繁に合コンに行ってるってことは
Takuto、彼女できてないんだな」
「余計なお世話だよ
まっ、そういうことなんだけどな
ちょうどいい子いないかな
この子って思った子は
彼氏持ちなんだよなぁ」
「なるほど」
「Seiaってどんな子が好みなんだよ」
「えっ、俺?
俺は.....」
「タイプあるだろ
お前もしかして、ホモ?
前から思ってたんだけど」
「ちげーよ」
「なら良かった
もしかして男が好きで
悩んでるのかと思ってたんだよ」
「んなわけねーだろ
俺の好みはどっちかって言うと
おとなしい子よりもはっきりしてる子で
自分があるっていうか
芯があるっていうか
自分の意見をはっきりと持ってて」
「お前ちゃんと好みあるんじゃん
でも、意外だな」
「何が?」
「Seia、おとなしい子が
タイプだと思ってた」
「好きになる子は、サバサバしてる子かな」
「なんかリアルだねぇ」
(完全にMikaちゃんだった
もう一生会うことのない彼女を
今だにいつもどこかで探してる俺がいる
彼女はとっくにアメリカで
彼女に見合ったアメリカンな彼氏が
できているだろうに
もう俺のことすら忘れてるかもしれない)
Rito
キーンコーンカーンコーン
「じゃあ、次の授業までに各自
課題を仕上げておくように」
Rito「よし、Fumiya行くぞ」
Fumiya「えっ、どこに」
「決まってるだろ
あの子に話しかけるんだよ」
「何言ってんだよ、知らないのに」
「だからって後ろから見てるだけで
いいのかよ」
「いやいや、今日は無理」
「じゃあ、いつ行動するんだよ
早くしないと行っちゃうぞ」
「えっ、まじで言ってるの?」
「まじだよ」
「他の子もいるし、せめて一人の時に」
「そんなこと言ってたら
お前一生チャンスは巡ってこないぞ
俺、他の二人に適当に話しかけるから
その間にお前連絡先交換しちゃえよ」
「お前、何でそんなに
やる気になってんだよ」
「分からないけど、今だよタイミングは
あとの二人は.....」
(えっ)
ドキン
(何だろう、この胸騒ぎは)
ドキン
「Rito、どうした?」
「あっ、いや
Fumiya行くぞ、俺は行く」
「えっ」
誰かを見てこんなに胸騒ぎがしたのは
生まれてはじめてだ
この胸騒ぎが何を意味してるのかは
分からない
けど、これを逃したらもうない気がする
ドキン
ドキン
Seia
Takuto「Seia、またな」
Seia「あぁ、またな」
「お前が女の子好きって無事に
分かったことだし
次こそ合コン来いよな」
「あぁ」
「お前好みのサバサバ女子を
お願いしとくわ」
「はは、その時は参加するよ」
「次の授業は何?」
「いつもの法学系ですよ
この隣のクラスで」
「お前はまた法律の世界に舞い戻るんだな」
「そういうこと」
「法学系の授業受ける子って皆
おとなしそうだよな
お前好みの子はいなさそう」
「はは」
「ほら、みんな真面目系
あっ、でもあの子はそうでもないかな」
「どの子?」
「あの子」
ドキン
(何だろう、ドキドキする
こんなことははじめてだ)
「Seia?大丈夫か?」
「あっ、あぁ」
(大丈夫じゃない、軽くパニック
一目惚れ?なのか?
うまく言えないけど何かが
自分の中でスイッチが入ったような感じ)
「Seia?」
「あぁ、また連絡する」
Rito Seia
ドキン
ドキン
話しかける?か
今を逃したら、もう会えないかもしれない
Rito Seia「あの」
Reila Miku「えっ」
Rito Seia「名前は?」
Reila「えっ」
Miku「あんた、誰?」
Rito「あっ俺
薬学部の葉山Ritoって言います」
Seia「俺、法学部の中村Seiaって言います」
Reila「私の名前は、Reila
上原Reila、国際学部です」
Miku「何か用?」
Rito「上原Reilaちゃんね
あの良かったら連絡先交換しませんか?」
(うわ、ストレートに言っちゃった
ひかれたかな)
Seia「いや、特に用はないんだけど
良かったら連絡先交換しませんか」
Reila「えっ、連絡先?」
Miku「嫌!何であんたなんかに
教えなきゃいけないのよ、目的は何?」
Rito「初対面なのにびっくりですよね
はじめてなんですよね、その一目惚れ」
(さらにストレートに言ってしまった
これで完全にひかれたかな)
Seia「目的?強いていうなら
連絡先の交換と名前を知りたいです」
(この強気な感じ)
Reila「ふふ」
(あっ、笑った)
Miku「あんたバカ?」
(あっ、怒らせた)
Reila「そんなにストレートに言われたのは
はじめてです」
Rito「ですよね
俺もこんなにストレートに言ったのは
はじめてです」
Miku「私、法学部なの
朝から晩まで法律の勉強をしてるの
将来は弁護士になるの」
Seia「あっ、はい」
「私を騙そうとしても無駄よ」
「騙すつもりなんて全くないです
ただ仲良くなりたいだけで」
「私はあなたに興味ない」
Reila「連絡先交換しましょう」
Rito「えっ、いいんですか?」
Miku「よってあなたとは連絡先は
交換しません」
Seia「えっ、じゃあ名前は?」
Reila「葉山Ritoくんね、宜しくね」
Rito「こちらこそ宜しく」
Miku「名前?名前は雨宮Mikuよ」
(Mikuちゃん
Mikaちゃんと名前まで似てる)
Seia「雨宮Mikuちゃんね」
Rito「時々メールしてもいい?
いや毎日しちゃうかもしれないけど
迷惑だったら無視してくれて構わないから」
Reila「ふふ、葉山くんて面白いね
もちろんしてくれてOKだよ」
Rito「良かった」
Seia「連絡先の交換は?」
Miku「しつこい、するわけないでしょ」
Seia「分かった、今日は諦める
でもこれから君に毎日話しかける
仲良くなりたいから」
Miku「毎日?迷惑
あなたに構ってる暇ないの」
Seia「それでも気になるから」
Miku「気にしないで、私のことは」
Rito
今日は久しぶりにいい日だ
いや、今までの人生で一番
ふと思う
彼女を好きになっていいのかと
俺は特別転生者
彼女はどこの人?
まぁ、いいか
今の気持ちを大切にしよう
Mikuちゃん
俺の中でストライク
Mikaちゃんに似てるからなのか
いや、Mikaちゃんの時は
こんな感覚にはならなかった
もしかしたら俺は彼女をずっと探していて
彼女に似てるMikaちゃんに
反応していたのか
まぁ、いいか
深く考えるのはやめよう
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