第48話 Exit

Rito


ガチャ


Rito「Fumiya、おかえり」


Fumiya「あぁ」


Rito「最近どう?」


Fumiya「Ritoから


そんなこと聞いてくるなんて珍しいな」


Rito「そうか?いや、そうだよな」


Fumiya「今まであんまり話すこと


なかったもんな」


Rito「そうだな


俺がずっとFumiyaを拒否してたからな」


Fumiya「拒否.....か」





Rito「今こうなってなんとなくFumiyaの


気持ちが分かるというか」


Fumiya「はは


俺が落ちぶれて」


Rito「いや、落ちぶれてないよ


FumiyaはFumiyaだよ


あの頃と何も変わってない」


Rito「俺はどうしようもなかったけど」





Fumiya「RitoもRitoだよ


何も変わってない」


Rito「そうか?」


Fumiya「Ritoは昔から優しかったよ


面倒見も良かった」


Fumiyaに優しくした記憶もなければ


面倒をみた記憶もない





Rito「俺ら双子じゃなければ


仲良かったのかもしれないな」


Fumiya「双子だから良かった部分もあると


思うよ


今までも仲が悪いと思ったことはないよ」


Rito「そう.....か」


Fumiya「ただすれ違ってただけ」


Rito「そうかもしれないな」





Fumiya「俺は俺


自分の人生を生きるよ、これからは


母さんでもなく、父さんでもなく


自分の人生をね」


Rito「そっか」


Fumiya「Ritoもそうだろ?」


Rito「あぁ、そうだな


Fumiya、今度母さんの施設に


行ってみないか」


Fumiya「母さんの.....そうだな」





Reila


Reila「おばぁちゃん、ビデオつけるよ」


おばぁちゃん「うん」





お父さん「Reilaがもしいつかこのビデオを


見る日が来たら


その時はお父さんとお母さんはもう


この世にはいないということになる


あの人形をもっと早く買ってあげれば


良かった


前からずっと欲しいって言ってたのに


誕生日でもクリスマスでもないのに


買わないと言ったもんだから


おばぁちゃんが気を利かせて


買ってくれたのに


早く買ってあげてたら


Reilaもスキー場に持っていくことも


なかったし


落とすこともなかった」


お母さん「Reila、ごめんね


このビデオを見てるってことは.....」


「暗い話はやめよう


お母さん、ごめんな、Reilaをよろしく.....





おばぁちゃん「た....かし、みほ....さん」


(おばぁちゃんが泣きだす)


「おばぁちゃん、もう自分を責めないで」


「Reiちゃん.....」


「あれは事故


お父さんもお母さんも自分のことを


責めながら亡くなっていった


私もずっと私が落とさなければってずっと


自分を責めてた」





「Reiちゃん.....」


「だからもう


おばぁちゃんも責めるのは終わりにして


先に進もう」


「Reiちゃん、おばぁちゃんのために


東京まで行ったの?」


「おばぁちゃんに楽になってもらいたくて」


「ありがとう、ありがとうReiちゃん」





お父さん、お母さん、ありがとう


二人が残してくれたビデオのお陰で


おばぁちゃんの心が救われたよ


10歳までを過ごした私の魂もきっと今頃


喜んでいるはず


私は私で自分を責めながら


転生を終えてしまっただろうから





Seia


Sayakaちゃんへ


ごめんね、16時の待ち合わせに


間に合わない


実は学校で少しトラブルがあって





Seia「田中さん、待って」


田中さん「まだいたの?」


「さっきどういうつもりって聞いたよね?」


「聞いたけど」 


「多分俺、田中さんのこと


好きなんだと思う」


「は?


好きなんだと思うって何で曖昧なの」


「えっ、いやまだ田中さんとは


知り合って間もないから


田中さんのことまだよく知らないし.....」


「意味分かんないし、私は好きじゃない」


「えっ、そっか」


「何よ、それで諦めるの」


「だって好きじゃないって言ったから」


「もーこれだから


アメリカ人だったら好きなら


相手のこと構わずガンガン行くんだけど」


「そうなんだ


じゃあ、構わなくていいってこと?」


「いちいちそんなこと聞かないでよ」


「へっ、じゃあどうしたら」


「もう自分で考えて、私帰る」





実は学校で少しトラブルがあって


今日は行けないんだ


最近転校してきた子がいて


気がついたらその子のことが気になってて


なかなか慣れないみたいで


その子のことほっとけなくて


ごめんね


ごめんねって意味が分からないよね


ありがとう


Seia





Miku


Miku「次元移動?」


Hayato「そう、俺の手を離さないで


行くよっ」


Miku「えっ」





こ....こ.....ど....こ


私、今どうなってる?


はじめて見た、こんな世界


音が一切聞こえない


呼吸はしてるけど、身体が楽


身体が軽い


浮いてるみたい


浮いてるけど、速度は速い


あなたはどこから来たの?


上の世界の人なの?


あなたの中にいるあなたの名前は?


うわ、眩しい





Hayato「到着」


Miku「えっ、ここは」


Hayato「4次元まで上がってきた」


Miku「4次元....」


Hayato「しばらくここにいよう


今戻るのは危険だ


向こうに色々とバレてしまう危険がある」


Miku「私....」





Hayato「大丈夫、今日から一週間後に


下の世界に戻るように設定するから」


Miku「一週間後.....」


Hayato「大丈夫だよ


違和感なく進むように設定しておくから」


Miku「あなたはいなくなるの?」


Hayato「山口Hayatoは残るよ」


Miku「じゃあ、あなたの一部は?」


Hayato「一部はいなくなる」


Miku「あなたの名前は?」


Hayato「名前はないよ、君を守るために来たから


いつも見守ってるよ」


もしかしてKail.....?










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