第48話 米が盗まれる( ̄▽ ̄;)
新規にお店をオープンすることになり、そのお店の店長となる人は開店予定日の1ヶ月前くらいから本部に入る。机が用意され営業部のスタッフのフォローの下開店の為の準備をしてゆくことになる。
お店自体が完成し什器や各種設備が整い商品搬入など現場仕事が始まるまでの間で実質的には2週間ばかりの本部勤務となる。
バイヤーが同席して、メーカーや問屋との商談をしたり、アルバイトやパートの面接も済ませたり。
ある日、食品コーナーで定番やエンドで開店セール用に山積みする米を決めるため米問屋のセールスと商談をしていた。他のお店でも米を置いている所もありさほど重要な商談でもなく、店長だけで対応していた。米問屋のセールスは試食用にと2キロや5キロの米を持参してきたが、本部で炊いて食べるわけにもいかずそのまま受けとるだけにした。商談が終わり、大きな荷物となる試食用の米の袋を置く場所に困り、本部で与えられた自分の机の足元に置いておいた。
2週間ほどの本部での業務が終わり、出来上がった新しいお店の中で準備作業をするようになり、本部の机にある書類や私物を取りに行った。
新しいお店への配送用のオリコンに荷物を詰め終わり、机の足元の試食用の米の事を思い出した。
机の下を覗き込むと、米の袋が無くなっている!数袋あったのに全て無くなっている!持ち運びにも苦労するくらいの量なのに無くなっている!
「あれ?米が無いな」と同じフロアの本部スタッフに聞こえるように独り言を言ってみる。
全員、大きな声の独り言が聞こえなかったようだ。
しらばっくれてるんだわ。
別に持ち帰ろうと思って置いておいた訳でもないからいいのだけれど。
本部スタッフの誰かが持って帰っても、本部で炊いて食べても構わないが、一言くらい言えよ!
消えた米の事は、誰も口にしない。
きっと営業部の部長あたりが勝手に持ち帰ったんだろう。
そういう奴だからな。
あのオッサンは。
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