第6話 お店の中に獅子舞が!頼んでないし!

何年前だったか、毎度のように元旦からお店を開けていた。開けていたと言うよりも、元旦すら休ませてもらえず働かされているという感覚が正しい。

住宅街の一角にあるようなお店に勤務していたが、お正月だから閑散。

お店の近くに神社もあるが、住民も少し離れたところのメジャーな神社にお詣りしているようだ。

小さなお店だったので、もちろんワンオペ・・

お客さんも少ないから、陳列替えなどしながら時間を過ごしていた。

お昼ご飯はお客さんの来店の気配を伺いながら、レジ横の狭い事務スペースで摂ることにしよう。

そんな事を思いながらお昼前。

突然、獅子舞いが店内に入ってきた!!

お囃子なども無しに、単独で店内で踊りまくる獅子舞い!

言葉を失い茫然として獅子舞いを見つめて、やがて冷静に・・

縁起物という認識よりも緊急事態に感じた。

ヤバい!

獅子舞いを装った強盗じゃないのか???

レジカウンターの中で身構えて様子を伺っていた。

舞いが終わり、獅子の被り物を脱ぐのかと思ったが、獅子の口から手が伸びて、ご祝儀を要求してきたぞ!

口から伸びた手に拳銃や刃物は無くて、すこしホっとしたが・・

誰も獅子舞いなんて頼んでないし、勝手に店に入って踊りまくられて迷惑してるのに!

そんな言い方をすればドラブルになりそうだから、

はー?どういうことですか??と冷たく言ってみた。

獅子舞いは数秒棒立ちになり、その後、素顔を見せぬまま店を出た。

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