第4話 新年初の社長の訓示が日経新聞の受け売りなのよ!!
年が明けての初めての店長会議。
会社の幹部から今年の方針などが説明され、店長たちはやる気のある発言や決意が求められる。でも、年末年始もろくに休みが無く、また、人員不足で残業の連続でヘトヘト・・。年末年始に1日だけあった休日も会議の準備のために自宅でパソコンに向かう持ち帰り仕事。完全に世の中の流れから遮断されたような生活。お店で働いているか、深夜に帰宅して眠るだけの毎日。一人の人間としての生き方や人生の立ち位置を冷静に考える余裕すら与えられずにいることすらもう気づかない。
そういえば、年末のボーナスも貰っていない。入社してからボーナスなんて貰っていない。店長は管理職なので年俸制で、年棒を12で割った残業代も含めた基本給だけで、店の利益が計画以上に出れば歩合のような形でプラスαの金銭が支払われるシステム。実際はバイトやパートの人件費やさまざまな経費を抑えて、売上や利益を稼いでも、歩合が出るレベルまでになかなか到達しない。永遠に基本給だけのシステムである。基本給が高ければまだマシだが、ほとんどが中途採用の若い店長で、採用時にかなり足元を見られている。
やる気と熱意、すなわち自己犠牲の精神があれば、どんな苦境も乗り越え、明るい未来が待っていると・・・マインドコントロールされている。
さてさて、年初の社長の訓示の時間。
経営者自身がオリジナリティある経営方針などを話すことは皆無な企業。
その時々に流行っているカタカナ語を多用する。
マニュフェスト、エビデンス、プライオリティ・・・
K-1が盛り上がっていた時にはリベンジまでも使う始末。
そして、今年も元日の日本経済新聞の一面記事からの受け売りだ。
マインドコントロール下の店長たちは、日経新聞など読む習慣もなく、記事の受け売りだとも気づかず熱心にメモを取り、感心した表情だ。
経営者にとっては、日経新聞の受け売りだとも気づかない店長や社員達を雇うことが、都合のよいことなのだ。
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