第2話 「くっくっく、我が統べるは全ての魔のチカラ!」

 衝撃に耐えきれず吹っ飛ばされる私。

「我が人生に、いっぺんどころじゃねー悔いあり」とか考えてたら……



 ドンッッツ



 全身に激痛が走る!



 いってぇーーー!

 ってあれ?生きてる!?

 あ、これガラスじゃないじゃん!


「知りたいか……」


 痛みに悶絶する私に、近くの席で机にしがみついてるオタクっぽい男子が話しかけてきた。


「もう一度言う。知りたいか……なぜ君が無事なのか……」


 いや!いらん!

 だいたいわかる、痛いもん。

 これ強化アクリルでしょ?

 そんなことよりガラスだと思ったら、アクリルだったことのほうがびっくりなんだけど!

 よく水族館の水槽のあの分厚いやつ!


「そこまで知りたいなら教えてやろう」


 いや!いらん!

 この窓のことでしょ?強化アクリルでしょ?

 もーわかってるから!

 この身をもって、たった今体験したから!


「くっくっく、我が統べるは全ての魔のチカラ!」(※課題セリフ2)


 は?こいつ頭大丈夫か?

 違うだろ!これ絶対強化アクリルじゃん!

 だから私、助かってんでしょ?

 おめーの力じゃねえーよ!

 確かにお前の見た目なら後何年かしたら魔法使いになれそうだけど……


 ってなに?

 私を起こそうとして手を差し伸べてくれてんの?

 いや、第一印象気持ち悪いからあんまり触りたくないんだけど……

 でもまぁ、これから友達作んなきゃだし。

 一応その好意に甘えとくか……


「あ、ありがとう、ございます……」


「くっくっく、我が統べるは全ての魔のチカラ!」


 いやぁ、手がさぁ、生暖かくて気持ち悪い……湿ってるし。


 しかもお前のセリフ。

「統べる」じゃなくて「スベる」だから。

 だだズベりだから、今。


 とりあえずこいつに見えないようにスカートで手を拭いとこう。


 なんとか自力で自分の席までたどり着いた。

 途中天地が逆さまになって天井に打ち付けられて。

 そしたら誰かが食ってた早弁の中身が降ってきて。

 頭に落ちてきたご飯は、ほんのり暖かかった。


 てか、この状況でよく食ってたな!

 逆にそいつがすげーわ!

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