第103話 力こそパワー!

赤い紙と青い紙が出ると聞いて。


「やーいお前のかーちゃんデーベソ!」


「……、出てこないね」


「たかしー! ごはんよー!」


『ごはんは欲しいが俺はたかしじゃない!』


「惜しい」


なぁらば!


「オデノカラダハボドボドダ!」

『ウゾダドンドコドーン!』

「だが私は謝らない」

『ショチョー!』

「ニゴリエースハオレノモノダー!」

『パンツハワタサン!』

「ダディャーナザァーン!!」

『オンドゥルルラギッタンディスカー!』

「オッペケテンムッキー!」

『俺が最強のライダーだ!』


「はあはあ…。ぬう、なかなかやるでござる」


「わけがわからないよ」


『ワーチョマーチョマチョナチョノーン?』


そりゃそうでござろう、小学生のスーさんはまだ生まれてもいないのだから。しかし相手は平成を知っているとみた。例の口裂け女さんの同級生の可能性が微レ存。ということはもちろん昭和も知っていると。


「ええいギャグやってないでさっさと出てくるでござる! 昨日の夜から二時間しか寝てないでござる!」


『いやお前が振ったんだろ』


「ついでだからちょっと失礼してトイレ」


「このタイミングで?」


しかし目の前のトイレのドアはぶっ壊れている。とはいえまさか小学生の前でお尻丸出しなんてことはしない。吾が輩はヒーローでござる。変態だけど露出癖はない。


ドア<バァン!


「フォー!」


『掛かったなバカが!』


隣に入りいそいそとベルトを外したところでドアが突然いきおいよく閉まった。


『赤い紙が欲しい? 青い紙が欲しい?』


「…」


『赤い紙と青い紙どっちだって聞いてんだよ』


「あの、すいません、紙あるでござる」


『あれっ』


「なずなたーん、清瀧たーん。出番でござーる」


ヘシン!

『なっ、なにこれ! トイレで喚ばないでください!』


『ご主人様は選べないからねぇ、しょうがないねぇ』


「『コロナ・フラッシュ』!」


『ぐわああああ! 目がああああ! 目がああああ!』


説明しよう! コロナフラッシュとは全身に纏った鎧と大きく広げた翼から放つ太○拳でござる!


「よし今のうちに出るでござる」


赤い紙と青い紙がム○カ大佐している内にトイレから出ようとドアノブを掴み開けようとしたが一向に開く気配がない。


「んん?!」


グイグイ


「ふんっ」


ドバキャっっっ!!!


「……、取っ手が取れました」


『山田くーん、コイツの座布団全部持ってってー』


「はいここで問題です。封☆印の剣ェ主人公がス○ブラDXに出演したときのスマッシュ技で頭のおかしい爆裂娘がよく使っている爆裂はなんでしょう?」


『エクスプロージョン!』


「正解」


『……? ちょっと待てこんな狭いところであんなのやったらまさかお前ウゾダドンドコドーン?!』


「WAHAHAHA!」


『ちょっおまやめやめやめやめ…!』


レッツ☆爆裂!


「エエェェェェクスゥゥゥプゥロォォォォォッッッッッッジョンッッッッッッッッッッ!!!!!」


トイレに閉じ込められたけどレッツ☆爆裂!して見事大脱出でござる!


「どらっしゃあ!」


「わっ」


ヤクザキックでドアを蹴破り、もうもうと立ち込める煙を裂いて外に出る。補足。封☆印の剣で主人公のスマブラDXでのスマッシュ技は自分もダメージを喰らう技でござる。


「おら、早く出ろ」


「ぐへえ」


「わっ、なにこのハゲオヤジ」


トイレに現れる都市伝説、赤い紙と青い紙。その正体はハゲオヤジだったでござる。自爆技で空間ごとぶっ飛ばしピヨッたところを引きずり出して放り投げる。


「ていうかにーちゃん…、にーちゃん?」


「え、ああ、スーさんはこの姿見るの初めてだったか」


パワーアップ? スタイルチェンジ? ドライブイグニッシヨン?した姿を見せていなかったでござるな。まあ今朝の話だから無理もないけど。


「にーちゃんカッケー! 羽スゲー!」


「さて、レイミさんに突き出すでござる」


「あっ!まだ戻っちゃダメだよ!」


「ええ?」


「まだ見たいからもう一回!」


100話を越えてようやくヒーロー然とした姿になり、初めてこの力を自慢できるでござる。感動だ……。素のままだとまだ黒いままだけど…。いや黒い隼か…。


「まずこれが通常の真っ黒」


「うんうん!」


「んでこれが青龍たんとユニゾンしてなる白背景鎧に青いライン。水系の能力」


「うんうん!」


「んでこれがなずなたんとユニゾンの白背景鎧に朱のライン。焔系の能力」


「うんうん!」


「んでこれが白背景鎧に青と朱のラインに黒い縁取りのトリニティフォーム!目が左右で違う色してるでしょ?」


「なにができるの?!」


目を輝かせわくわくした様子で聞くスーさん。確かにこれが今のところ最強フォームだと思うでござるが…何ができたっけ…?


「なにが…?下着の覗き見…?服が透けるメガネならぬ服が透ける眼でござる」


「うーん、にーちゃんらしいや」


「待って待って、吾が輩そんな変質者キャラじゃないでござる」


変質者と変態紳士はまったく別でござる。くれぐれも間違えることのないように。それにこの服が透ける眼はトリニティフォームじゃないと使えないという欠点があるでござる。その内話の都合でヘシンしなくても使えるようになるかもしれないけど。


「こんにちは」


「あっはい」


「だれ?」


「お嬢様の命で武蔵野署から来ました、加利守かりしゅです」


「おう、カリス」


加利守かりしゅです」


吾が輩の一通りの説明が終わったところで現れ、警察手帳を見せるスーツの刑事さん。どこかで見覚えがあるような……。この人をスーさんに近づけてはいけないような気がするでござる…。


<ワイルド! ワイルド!


「すいません、ちょっと失礼」


加利守さんが胸ポケットからスマートフォンを取り出してなりやら電話し始めた。なんなの今の着信音でござるか。


「別の学校で今度は『トイレの花子さん』が出たそうです。行きましょう」


定番『トイレの花子さん』キタ━(゜∀゜)━!


「おうちに帰して欲しいでござる……」


「まーまーにーちゃん、ボクも行くから」


「スーさんと一緒なら行く」


※トイレの花子さんとは?

「誰もいないはずの学校のトイレで、ある方法で呼びかけると『花子さん』から返事が返ってくる」というもの。赤い吊りスカートをはいた、おかっぱ頭の女の子の姿が最も有名である。白いワイシャツを着ているともいう。それ以外の噂の詳細は、地方により異なる。byWikipedia

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