第80話 フカヒレ
「このサメ、どうするでござるか?」
「すげえ…」
「強ええ…」
「ウホッいい筋肉」
「くませんせーかっくいー!」
「新聞部でーす!ヒーローインタビューでーす!恋人と息ぴったりのコンビネーション決めてましたねー!やっぱりベッドで結ばれ」
「そぉい!!!」
「お助けぇぇぇぇぇ」
生徒達が感嘆する中、ムッコロしたサメを担ぎ上げ波打ち際に積み上げる。全部で5頭。これだけあればいいお土産でござる。
「あたしが聞きてぇよこんなデケェのをこんなに水揚げしてどうすんだよ」
「船の貨物スペースに入れておきましょ。冷蔵しておいて取りに来てもらえばいいのよ」
「いやあの副長、ここ無人島なんですよ?」
「どっかその辺にウチのグループの船がいるでしょ。いなけりゃ呼べばいいのよ」
「鮮度が大事でござる。なるべく足の速い船に来てもらうでござる」
「お前も染まってんじゃねーよ!」
今日もキレのいいツッコミでござる。
「! ござるさん、指から血が……」
「え?ああ、鮫肌に触ったときにちょっとだけ切れたでござる」
体当たりしたときには能力使ってたからなんともなかったけど、担ぎ上げるときに力んだらちょっと切れちゃったでござる。
「ちょっと貸して」
ちゅう
「あばばばばばばば」
「スキャンダール!」
バシャバシャバシャバシャバシャ!
「ゾンビかお前は!!!」
ソォイ!!!
「おおお助けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「私も気を抜いてられないわねえ。ちょっとカレン、次私ね」
「副長?!」
指をチュウチュウ吸って血を止めるとかどこの少女漫画だござるか。水が滴る髪、崩れた髪型、濡れた水着から透ける乳首もなかなか……。あ、やば。
「ぶっ」
「きゃっ」
「ぎゃー!くませんせーが鼻血噴いたー!」
「童貞には刺激が強すぎたか、ただでさえ露出が多い光景にさらにこれじゃな」
「えっ?ござるさん童貞なんですか?さっき胸触らせてあげたときは押し倒してくれなかったのに」
「副学長ー、生徒にもチャンスはありますかー?」
「自由よ!女なら奪ってみせなさい!!」
「私だけの男よ!!!」
「すいません皆さん姉の前で襲おうとすんのやめてもらえませんか?」
吾が輩の
「はっ!おっぱい?!」
目が覚めるとビーチパラソルの下だった。何がどうなっているでござるか…。透け乳首までは覚えているけどそこから記憶が飛んでいるでござる。
「いやどんな起き方だよ」
「あ、姉上」
「だらしねーヤツだなお前も」
「吾が輩はなんで……」
「お前鼻血吹いて目ぇ回してぶっ倒れたんだぞ? 覚えてないのか?」
「じぇ、じぇんじぇん…」
「まいいや。なんだっけ?夜から接待あるんだろ?それまでには調子戻しとけよ」
そう言って吾が輩の肩を叩くと海へと駆け出していった。その先では水着のうら若き乙女達がボール遊びやビーチバレーをしていた。
「接待…、そういうことになってるでござるね」
PM19:00夕食、PM20:00出発、PM22:00ミッションスタート。目標は魔術機動兵器。
(この間、青龍たんと融合した後からさらに強くなったでござる。今なら生身でも戦車の弾くらい止められるでござろう)
恐らくなんらかの影響を受けたのだろう。それが良い意味で働き、飛躍的な身体能力の向上に繋がっている…と考えるでござる。しかし吾輩が精神的には追いついていないと。吾が輩のこの手が真っ赤に燃える!なーんちってwww
ボンッ
冗談半分に右手を掲げると、本当に真っ赤に燃え上がった。
「わちゃちゃちゃちゃ!!!」
なんぞ?!なんぞ?!豚が燃えて焼豚?!ってやかましいわ!
「ひっひっふー!ひっひっふー!!!」
おおおおちちゅいておちちゅいて素数を数える。1、3、5、7……違った、これ奇数でござる。
シュウ…
「おお…、消えた……。取り敢えず火傷したから冷やさないと…って火傷してないでござる。なんじゃこりゃ…」
吾が輩、いつの間にキングオブハートに……。
『そんなワケないでしょ』
「qあwせdrftgyふじこlp!」
突然、黒髪ロングストレート巫女が現れた! 神社にいそうなTHE・普通の巫女さん。なんなんでござるか、吾が輩は巫女にでも縁があるでござるか?だっ、だけどこの人透けてるでござる…。巫女服がじゃなくて体そのものが…。
「でっ、でででっ、でっt――!!!」
『出たって言いたいのならその通りだけど、今私の姿が見えているのはあなただけよ』
「えっ?」
周りを見ると皆何事もなく遊んでいる。ふと、カレンさんと目が合う。手を振ってみる。手を振り返されてさらに投げキッスで返される。南国らしからぬ人影が突然現れたら誰か気付いてもよさそうなのに。
『ここは太陽の光がよく届くから、ちょっと出られるようになったの』
「あの……どちらさまで?」
『それはまだ秘密。今日の夜は私と融合することになったからそれだけ伝えに出たの。青龍ちゃんはまだ寝てたいって』
なんだろう、この人。顔がどっかで見覚えがあるようなないような。というかそろそろ黒髪キャラは被ってるからもういいんですけど……。
「! なぜ青龍たんのことを知ってるでござるか?融合したのだってついこの間の話なのに」
『私はいつもあなたといるから』
「あ、ちょっと!」
すうっと霞む。慌てて手を掴もうとするがその前に消えてしまった。まるで幻でも見ていたかのよう。いつも吾が輩と一緒にいる? どういうことなのでござろう。いつもあんな美少女と一緒にいたらお風呂でもベッドでも片時も離さないのに……。いや、これ以上は吾輩の血圧が許さないでござる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます