第8話 束の間の休息
はい、後日談でござる。
「初陣でぶっ倒れて後から来た女にお姫様だっことかwww 8人目現る! の最初の絵面がお姫様だっこwww イケメン状態でwww お姫様wwwだっこwwwwwくっそwww」
もうね、お師匠さま朝からこんな調子でござる。ずーっとお腹抱えて笑ってる。もうね、こんな恥ずかしい思いさせるくらいならいっそ殺してくれと小一時間。あれから3日が経っているでござる。気絶しても変身が解けなくて良かったでござる。吾が輩が言いたいだけ言ってぶっ倒れた後、他の7人が来て、ひっそりお師匠さまに引き渡してくれたんだそうな。ただその前にちらっとテレビカメラに映っちゃって、何回もテレビで流されてるでござる。絶対わざとでござる。お師匠さまも冬将軍も雪女さんも娘さんも映ってないのに、なんで吾が輩だけ…。いじめかな?デビューがお姫様だっことかいじめかな?
「あ、みかん、なくなったでござる」
「だが私はこたつから出たくない。どうやらアイツらも私らとほぼ同時にあの場に到着したらしいんだが、私らがいることにもとっくに気付いてたとさ」
「じゃあわざと見逃されてたでござるか。ん? ってことは吾が輩の正体がバレてる可能性が微レ存?」
「いんや、分かってても黙っててくれるっとさ。それよっかこっちのやり方が滅茶苦茶で止めなかったの後悔したってさ。お前をお姫様だっこ(爆笑)で運んできてくれたリーダーと少し話したよ。一番驚いたのはお前がぶった斬られてたことだっつってたぞ」
「まあ、あれは仕方がないでざる」
「言うてぶっちゃけお前、最初から斬られるつもりだっただろう」
お師匠さまが吾が輩の隣に来る。しっぽがもふもふ。
「確かに斬られるつもりはあったけど、まさかあんなに展開が早いとは思わなかったでござる」
冬将軍を相手にするからには、おそらくそうなるだろうとは分かっていたことでござる。吾輩がまだ弱いのは当たり前だし、仮に強くてもしかし仲裁に入る者が手を出すのはまずいだろうと。って言っても結局投げ飛ばしちゃうわ殴り合うわになっちゃったけど…。冬将軍と雪女さん夫婦がその後どうなったかと言うと、ちゃんと仲直りするだそうな。しかも冬将軍が全面的に折れたとか。意外でござる。
「そういえば冬将軍、将軍やめるってさ」
「えっ? なにそれ聞いてないでござる」
「頭丸めるってさ。あのあとびえんびえん泣いた娘見て後悔したって。そんなん言うなら最初っから喧嘩すんなっつーんだよ」
まったくですわ。しかし吾が輩の過去、話しておいてやはり正解か。
「お前、昔のこと話したって雪女から聞いたぞ。このバカ弟子が。医者から思い出すのも禁じられてるのに何やってんのさ。超再生しないからおかしいとは思ったけど」
吾が輩、やはりまだまだ未熟でござる。超再生は吾輩の意志と関係なく発動するはずなのにしていなかったとは。能力が精神面に影響されているでござる。吾が輩はあの過去を思い出すだけで具合を悪くしてぶっ倒れるでござる。本当はあんなに出血して思い出そうものなら、下手すれば死んでいたかもしれんでござる。
「お前のしたことは大きなお世話だったろう。でもお前はよくやったよ」
お師匠さまに抱きしめられる。吾が輩、彼女いない歴=年齢でござる。故に、夫婦というものがどういうものなのかなんて想像もつかないでござる。
「吾輩が娘さんの立場にいたから、そこから何が出来るのかと言ったらあれくらいが限界でござる」
「十分さ。でもな、無茶はよくない。死んだら元も子もないんだよ」
「結界オーライでござる。お師匠さま、それはそれとしてみかんプリーズ」
「だが断る」
吾が輩のセリフ…。そもそも怪我人に取りに行かせるでござるか。というかお師匠さま、離れてくれないと行けないでござる。
「あの、みかん」
「こたつ×お前×自分のしっぽ=チョーイイネ!」
「えぇー…。そもそも大きなお世話とかよくやったとか言うけどやらせたのお師匠さまでしょ」
「アーアーキコエナーイ」
もう冬将軍も雪女さんも帰ったから、雪はそんなにひどくないし寒くもないでござる。
「いいじゃないの。怪我を理由にこうして美女に抱きしめられながらこたつでゴロゴロしていられるんだから…zzzzzzzzzz」
ま、いっか…。明日帰るでござる…。包帯はしばらく必要らしいけど、落ち着いてからは痛まないでござる…。ゴロゴロ…、ゴロ…ゴロ…、ゴ…zzzzzzzzzz。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます