第34話 調査

「ギルドに戻ったルナ達にはギルド周りの事を調べてもらっている。だから俺はこっちでドラゴンに関することを調べようかと思ってこっちに来たんだ」

「まぁ確かにドラゴンの事はここいらに伝わってる伝説だけれどギルドが本格的な調査をしたって話は聞いてないわね。今更どうして討伐なんて話になったのかしらね」

それが疑問だった。ドラゴンに関する資料は十数年前の討伐だけで極端に少ない上に被害が出たという話も聞かないが何故かギルドを通さない依頼、いわば特例で討伐が依頼された。特例は特定の出現が即座に脅威たりうる魔獣に対して適用されるものであるのにも関わらず録な情報もないままにドラゴンに対して適用されているのは奇妙だ。十数年前の討伐も同様の手段で依頼が為されたであろうことを考えるとやはり何か違う目的があろうことは想像できる。

「で、私はその前回の依頼のことを調べればいいのね」

「理解が早くて助かる、恐らく当時のことを知っているのは現地の人間だけだろうしな」

ギルドの関与が少なかったであろうことを鑑みるとギルドの関係者よりは現地住民の方が持っている情報は多いだろう。

「俺は領主の周りで今回の依頼に関することを調べてみる。どういった経緯で依頼が出されたのか分かれば俺達を狙った連中がどこから嗅ぎ付けた誰に遣われた連中か分かるだろう」

「了解、じゃあ店のこともあるし明後日から行動するわね」

「頼むが、いいのか?諜報員は引退したのに俺の手伝いなんてして」

「いいのよ、元々雑貨屋なんて偽装の一種でしてたのに馴染めるわけないんだから。それに元依頼主とはいえギルドには恨みもあるしね?」

クラウディア・パーシヴァルは元はギルドの諜報員だったがいさかいを起こして現在は引退した身の上である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る