四章 町の暗き火 別視点

第33話 領都

 ギルドと領主のつながりを疑った俺は単独、領主の周りを調査することに決めた。これは領主の血縁にある俺の責任であるし、冒険者をしている俺の個人的な矜持でもある。

「こいつはひどい」

 だが、領都に引き返した俺を待っていたのは領主が暗殺されたという風聞と俺との会談後姿を見せないようになり、死体として発見されたが犯人は不明。参考人として直前に会った冒険者を手配中。


「それで私のところに?」

「すまない、また迷惑をかけるクラウディア」

 こうなってしまった以上、町を大手を振って歩くことなんてできないだろう。それで顔なじみである雑貨屋の店主の所に身を寄せることにした。寝床位は貸してくれるはず…多分。

「はぁ…何回目か分からないけれど、仕方ないか。今回は何?」

「領主からの依頼を受けたら殺されかけた、事情聴きに来たら領主が殺されてた」

「災難なことね、というかドラゴン退治を受けた冒険者って貴方たちだったのね。前の時だって発見と討伐報告だけって聞いたから噂話の類だと思っていたわ」

「そう思いたかったが実在していたし、俺たちに忠告をしてくれる親切なやつだったよ」

 とても伝説に謳われる野蛮で強大な獣であるといった印象は受けなかった。賢者といった印象で何もかも分かったような口ぶりで尊大に話す様は人に近かった、そんな彼は厭世的であり人の関係に口を挟まないようあの集団に対して何か言わなかったのかもしれない。

「存外そんなものなのかもしれないわね、いいでしょう協力してあげる。で何をすればいいの?」

「ありがとう、今回の依頼でおかしな点は二つあって。一つはギルドに残っているドラゴンの資料が極端に少ない事。もう一つはあの山で恐らくは俺たちとドラゴンを始末しようとしたものがいること」

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