第31話 変転

「さて、我は地に帰ろう。見ること伝えうることは終わった」

 ドラゴンは器用に体を反転させると地面を口から吐き出した炎で溶かしながら沈んでいった。

「さらば勇気あるもの達よ、さらばだ」

 ドラゴンは去ったが余計な者が代わりに現れた。


「お前らはここで死んでくれ」

 見計らったように全身黒づくめで剣を構えた集団が現れた。ここにいることを知っているのはギルドと依頼者である領主の関係者しかいないはずであり、そうであれば彼らはどちらかから雇われたのだろう…何のために?


襲い掛かってくるが個々はあまり強くないが規律取れた集団で色々な方向から攻撃を行ってくる手練れの集団であった。だが、地の底から響いたドラゴンの声を聞いた瞬間、蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていた。


全て終わった後、リーダーは口を開いた。

「これからの事で相談がある、一人で調べたいことがあるんだ。それでルナに後の事を任せたい」

 決意を固めた表情を浮かべ、揺らがぬ言葉でその考えを語った。その様子を見て反対するものは誰もいなかった。

「いいですよ。任せてください、リーダーを補うのは一番付き合いの長い私の仕事ですから」

「頼んだぞ、気を付けてかかれよ」

 別れの言葉と共に荷物を担ぎリーダーは領都の方に去っていった。


「さて、私たちも帰りましょう。兵器は撤収後指定場所に配置、ギルドに今回のことで疑いをかけられる可能性があります報告後、万が一のために用意してある隠れ家で調査を続行。私達を殺そうした連中について調べましょう」

 山を下り始める、上り始めた頃にはドラゴンの存在は信じられなかった、ましてや人に殺されかけ命を救われるなど考え様もなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る