第26話 出立

「それだけ想ってもらえて幸せだったと思います」

「そういってもらえると俺も気が楽だ」

 父と母の最期が幸せだったことを祈る。落ち着いたら墓参りもしたいな色々と世界が変わってしまったが墓くらいは残ってるだろう。

「さて、そろそろ夜明けです。二人を起こしてきますからご飯お願いしますね」

 ルナは時計を焚火の光にかざし時間を確認した後、寝ている二人を起こしに行った。一度ルナに料理ができるのか聞いたことがある、肉の加工、焼きは出来るがそれ以外はどうやっても焦がすとか味がおかしくなるらしい。


「さて、今日からドラゴンの調査を始める。候補は何点かあるが最も可能性の高い場所から調べる、わかりきったことだがドラゴンは存在するこれは確実だ。だからまどろこしいのは抜きだ」

 朝食後、地図を取り出し二度目の打ち合わせをする。火山に何か所かの目印が付いており、その中に一つ特に大きな円が描いてある。その下に最もドラゴンの出現頻度が高いことが記載されていた。

「兵器の設営と餌をここに設置する。奴が食いついたら翼を焼き、飛べないようにしてから首を集中攻撃し落とす。万が一に逃げられた場合に備えて最初にワイヤーを打ち込んで巣穴特定の足掛かりとする」


 その数時間後、荷物を担いで山を登っていた。大半の荷物は俺とリーダーが背負い隊列の後方についている。ルナが一番戦力になることから先頭を歩き、知識量では一番のワイズマンが二番手についている。

 今回の肝はクロスボウによってどれだけダメージを与え、仕留めるかであるが逃げられた場合には巣穴ごと瞬間火力に優れる魔法によって潰すことも想定している為、必然的にワイズマンは二番手に配置された。本人は危険だと嫌がっていたが。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る