第22話 兵器
「こいつはすごい」
領主から借りた兵器は巨大なクロスボウであった。引きずり下ろす為に鎖が付いた矢。翼を焼くために油瓶をつけられた火矢。
「ドラゴンを本当に落とすつもりなんだな」
「もちろん、いないに越したことはないが本当に存在して被害が出てるのなら落とすよ」
ワイズマンは真剣な目でそれらを見つめていた。万が一には殺す覚悟があるということなのだろう。俺には分からない、何せ空想の存在であるドラゴンが存在するということがいまだに信じられなかった。
「疑っている顔をしているな、まあそうだろうな。僕も信じられなかったさ、子供のころ聞かされたおとぎ話が実在するなんて。だけどさ誰かが存在を断定する程度にはその存在を信じてもいいだろう?」
その話だけは信じてもいい気がした。
組み立てもしてみる、基本的にはクロスボウをただ大きくしただけである。矢をつがえて動力になる部分を巻き上げ、引き金を引く。単純ではあるがどんな人間でも標準以外は同等の性能を発揮しまた大型化しても人の腕力に頼らずに使用可能な利点がある。大砲よりも取り回しが良く、重い砲弾を持ち運ばなくてもいいのは利点であろう。
「さて、検査も済んだし運ぼう。リーダーも待ってるだろうしね」
部品ごとに分解された人の背丈あるほど大きいクロスボスを荷車に乗せ運ぶ。念のため黒い布をかけて上空から見た時の偽装とする。幾分は地面と同化して見にくくはなるだろう。
「あっちは領主様と会談だっけかうまくいってるといいが」
宿に舞い込んだ手紙の主はこのあたりの領主様から直々に送られてきたものだった。そのこともあってリーダーは話を聞きに領都に向かった。
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