三章 来りてはドラゴン
第21話 火山
「大きいな」
竜が住まうという伝説が残るその火山は市街の南、馬車で付近の町まで五日。そこから徒歩でさらに三日。王国最南端の地に存在した。
竜の咆哮が聞こえるという報告が多数あり。そこからギルドの調査が入りドラゴンの存在が確認、危険性から討伐されたのが十数年前というのが現存する唯一の資料だった。
その資料もドラゴンの風聞や噂をまとめたものが付属していただけで具体的な対応策、討伐に関する情報は紛失といった有様で明らかに手を加えられた跡があった。
「本当にドラゴンなんて存在するんですか?御伽噺じゃあるまいし」
「御伽噺には大抵もとになった生物や現象が存在しているものですよ」
ワイズマンがルナに対してもっともらしい話をしているうちにキャンプに着いた。今回のキャンプはなめした動物の皮を木の基礎に張った。簡易的なテントであった。土の上にも皮を敷いて、床にして。荷物を置く。
キャンプの外に焚火の用意と簡単な動物の罠を仕掛ける。ある程度食料を置くので重要だ。
「よし、あらかた終わったな。今日はこれで終わり、打ち合わせして飯食って、好きなことして寝る以上」
「さて資料が多くない以上、現地調査しかない。火山に入ったことがある連中に情報を聞いてきたが、どうやらドラゴンの痕跡らしきものは火口近くに偏っている」
リーダーの経験と収集した情報から居場所を推測する。その情報が正しければ火口近くの特に温かい場所をねぐらにしている可能性が高いという結論に至った。
「寝床の特定が出来たのなら後は餌の問題だが火山全体を餌場にしているので特定は不可能に近い。そこで今回は囮を使う」
荷物の中にやたらと生肉が多かったのはそういうことか。
「それでだ、明日の朝ドラゴンを落とすための兵器がここいらの領主から届く手はずになっている。ワイズマン、お前は確か工廠の監督官をしていたよな」
「してはいたが。どうしてそれを」
「知り合いから少しな?組み立てを一任する山本と一緒にうまくやってくれ」
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