第19話 陰謀
「それで旧市街の事は?」
「予定通り、周辺の封鎖と情報規制。古代兵器の回収、万事うまくいっております」
ギルド長の執務室で密談を交わす男が二人、先日起きた旧市街でのことを話しあっているようだがその手元には契約書と奇妙な形をしたものが置かれていた。
「そうか。では今後の計画には支障なさそうだな」
「ええ、順調です。例の遺跡の調査も進み、直に手に入るでしょう」
マシンゾンビが眠る謎の遺跡、そう思われていた場所は兵器の貯蔵庫であった。前時代の戦争で用いられたものが数多く見つかり、またドラゴンやシーサーペントといった生物の存在が確認された直後のデータが発見された。
それらは前時代を信奉する一部の研究者にとってのどから手がでるほどのお宝だった。
「それで彼らの処遇はどういたしますか?」
「意思疎通の可能な兵器の存在は大きかったが多量にしかも制御可能な物が見つかった以上。処分するしかあるまい」
熟練の冒険者であれど強大な敵の前には膝を屈しうる。そしてその時が最後の時なのだ。
「ドラゴンはどうでしょうか?火山で目撃情報がありましたし」
「よし、それでいこう。依頼を出す、ドラゴン捜索の為火山で調査。ドラゴンが殺してくれれば上々、そうでなくとも処理は容易だろう」
ドラゴンは力の象徴であり、生物の頂点に立つ存在である。冒険者たちは余程のもの好きか名誉の欲しい者、食うに困った貧者が挑むという話が伝わる。それ以外には勇者と呼ばれる例外がいた。
「では、部隊の用意をしておきます、本日はこれで」
「うむ、よろしく頼む。ああそうだ例の始末はついたか?」
「ええ、彼とその一派の始末は既定通りに」
時がどれだけ経っても人の欲は払われず、毒にも薬にもなる。
それでも歩みを止めることは出来ない、勇気がそこにある限りは。
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