第18話 報告と対価

「以上で今回の旧市街での戦いと、それにともなって発見された古代兵器の報告を終える」

 即座にギルドへと戻った俺たちは受付を通して事のあらましを報告した。本来存在しないはずの生物の存在、討伐時後発生した古代兵器の分かりうることすべて。

 結果としてはギルドだけでは判断できない為、各種機関との会議にかけることになったらしい。当面の措置として旧市街への立ち入り禁止、周辺の水路の封鎖と大体水路の造成工事が決定した。


「ご苦労だったな、想定外の事態が起きたと聞いている。これは今回の報酬だが通常より大分色を付けさせてもらった。受け取ってくれ」

 面会したギルド長はふっくらとした袋を寄越した。中身を改めたリーダーが納得した顔をするくらいには入っていたみたいだ。ルナは約束通り装備を買ってもらえることになって上機嫌だった。


「お疲れさん、初依頼がいきなりおかしな感じになってしまったが終わった後の酒がうまいのに変わりはない。初依頼達成に乾杯!」

「いやちょっと待て!どうして僕がここに居るんだ!」

「言い忘れてた、管理すべきものがなくなった以上職がないのだからお前たちのとこで使ってやってくれと水道屋のおっさんが言ってた」

 ワイズマンは本来、町の水道管理局の職員だが局長がリーダーの知り合いである縁で俺たちの隊に随行するようにとの辞令がでた。技術補佐という名目らしい。


「改めて、乾杯!」

 リーダーがグラスを掲げて号令を発して酒盛りが始まった。いつの間にか顔も知らない冒険者、探検家などのギルドに出入りする連中が集まってきて酒を飲み始めた。ギルド全体で初依頼達成を祝うのは恒例行事であるらしい。飲みたいだけじゃないのか?

 ワイズマンも最初は不貞腐れた顔をしていたが、そのうち酒の影響か赤ら顔で酒飲み共の騒ぎの中に入っていった。俺も飲むか。

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