第17話 遺物
ぐわんと視界が歪む、シーサーペントの叫び声が聞こえる。
餌に食いついて口を開けた間抜け面に火のついた油瓶を投げ込んだ、途端泡を食ったような顔をしてのたうち回り始めた。
「よくやった、山本。初めてにしちゃ上出来だ、さてこれ以上はどうしようもない…!?」
仕留めたと確信して気の緩んだ瞬間、シーサーペントの腹から血が流れだした。肺を焼いたのであれば腹から血が出ることないはずであり、明らかに異常な状態に陥っていた。
「リーダー!腹に何か食いついてます!」
「双眼鏡あったろ!貸せ!」
リーダーが双眼鏡でシ-サーペントの腹を覗き込む、黒く小さい魚のようなものが多数噛みついている。あいつは確か生物兵器の…!
「まずい…リーダー、ルナ!すぐにここから離れるぞ!爆発する!」
水路の奥の通路に二人を押し込むように逃げ込む。間一髪で爆発を逃れた。
「はぁはぁ…それであいつはなんだ?山本」
「私も聞きたいです」
俺は説明を始めた。戦争中共和国で作られた、上下水道破壊用の生物兵器があの魚型の爆弾であり。水棲生物を食べて、エネルギーとすることによって軽量化と隠密性を兼ね備えた兵器として機能するものであることを説明した。
「なんでそんなものが残っているんだ」
「それは僕から説明していいか?」
「ワイズマン!いつのまに」
「失礼な調査をしろって言われたから調査していただけなのに」
「それで結果は?」
通路の奥に古い排水管の跡があった、恐らく水道を拡張するときに古い管を埋めたんだろう。その口に爆破痕が残っていた、あれが爆弾ならそこで爆発して出てきた可能性がある。
「そうか。ありがとう、とりあえずシーサーペントの体の一部を拾ってギルドに報告しに戻ろう。俺たちの手に負えない事態のようだ」
俺たちは街に戻り、ギルドに報告し依頼の確認と報酬の相談をすることにした。
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