第16話 シーサーペント

 巨大な蛇といえば分かり易いか、小さな肢とそれに付随する水かき。体表の鱗を除けば蛇の特徴を備えたその生物は一般的にはシーサーペントと呼ばれている。

 主には海と海に通じる河口を生息地としているため船乗りたちには恐れられている存在ではあるが、その体躯の大きさや餌の確保の困難から河川に住み着くことはない。

「推測の通り水門前のため池にいやがるな」

「ここまで来ておいてなんだが殺すのか?」

「それ以外にはない、ギルドは証拠がなけりゃ報酬を払わないからな。それに倒すこと自体は難しい事じゃない」

「シーサーペントといえど呼吸するので肺を焼いてしまえば時間はかかりますが確実に殺せるのです」


 作戦としては鼠を放り込んで気を引き、こちらに向けて口を開けたところに火のついた油瓶を投げ込むという簡単なものだった。

 「俺が気を引くから、山本お前が投げ込んでくれ。ルナは俺の援護、ワイズマンは戦ってる間にどこから奴が来たのか調べてくれ」


 各々が指示を聞き即座に実行する、よく訓練されたよい部隊の証明だ。俺の元居たところはもっといい加減な寄せ集めだったからそんなことはなかった。

 そこら中にいる鼠を数匹殺して、餌にする。油瓶数個の口に布を入れ込んで火種にする、用意はできた。あとは奴が乗るかどうか。


 シーサーペントを誘導するため、鼠を水に投げ入れた。奴は敏感に音を嗅ぎつけこちらに泳いできた。あたりだ、奴は何も知らずに餌を食うために口を開けるだろうそれが奴の最後の時になる。

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