第15話 下水へ

 町の下に細く張り巡らされた水路の大元、巨大な川のような水路。それを海に通じる川へと流す手前に逆流防止用の水門がある。そこを調査するため、最も近い地上のマンホールから入り込んだ。

「水の音の大きい方に進み続ければ着くはずだ、列は俺が前、ルナが殿。俺の後ろにワイズマン、山本いいな。敵が居ても鼠位だろうが気を抜くなよ」

「了解です、私に任せてください。明かり必要ですよね?」

 少し胸を張って嬉しそうにルナは返事をすると同時に魔術の準備をしつつ確認をした。

「たのむ、弱くな」

 指示を受けたルナは炭を手に持ち魔術の詠唱を始める。

「火の精霊よ、依り代をもって我が願いにこたえよ。暗き道を温かき火で照らせ」

 詠唱ののち炭が宙に浮くと同時に発火し、通路がはっきりと見えない程度の明かりを出した。


 アーチ状の天井と水路、人が一人通れる程度の通路があり。そういった水路が幾重にも中央の巨大な水路に向かって伸びている。

 その狭い通路の上、食い散らかされた鼠がそこら中に散乱し異様な臭いを発生させていた。大小、年齢も関係なく殺された後の光景は鼠であっても哀れになるものだった。

「こんな状態、鼠も逃げ出すわな」

「初めて見ました、思ったよりひどいですね」

 言葉とは裏腹に二人は慣れた態度であったがワイズマンは後ろで嗚咽を繰り返していたが吐くものもなくなったのか肺から空気を押し出す行為を繰り返している。


  何とか落ち着いた、ワイズマンを連れて暗く湿った道を一時間ほど歩いた頃、蛇がのたうち回るような音が聞こえた。それと同時に白い尾が水路を泳いでいくのが見えた。

「あれだな、用意をしろ。そろそろだ」

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