第13話 管理人
「着いたぞ、ここが一時的に拠点になる場所だ」
資料室とプレートが掲げられている妙に頑丈そうな扉が備え付けられた部屋の前に行き着いた。
先程から部屋から何か物を落とす音が短い頻度で聞こえる、何が起きているんだ。
「賊が押し入ったかもしれない、念のために中を探ろう。ルナ頼む」
「了解」
頼まれたルナは腰に下げていたポーチから聴診器を取り出し、扉に耳を当て音を聞いた後、素早くダガーを構え扉を少し開け中を覗った。
「中には魔物、賊の痕跡はない。ただ異様に散らかっていてひどい有様ね。足の踏み場には気を付けた方がいいかも」
「新入りの管理人の奴なにかやらかしたのか…?まぁ危険がないならとりあえず入るか。山本は少し待っててくれやばい奴の場合対処しなくちゃいけないからな」
やばい奴?まるで過去にそういった人物が管理人になったような言い方だ。こんな場所だと発狂位しても不思議はないが…指示通りに待つか。
先にリーダーたちが入って数十秒経った頃、部屋の中から悲鳴が上がりこちらに走ってくる声と音がした。
「誰かー助けてくれー賊だー」
「誰が賊だ!ちょっと待て!話を聞けー!」
「待ちなさい!」
ここに居てはまずい気がすると思い扉の横にずれた瞬間、扉が観音開きになり人影が飛び出てきた。しばらく走った後瓦礫につまずいてこけた、助けた方がよさそうだな。
「ありがとう、助かったよ。危うく賊に殺されるところだった」
「どういたしまして…いや待て、賊じゃないぞ」
「えっ」
「依頼を受けてきた冒険者だ」
しばらく経ったあとリーダーたちが部屋からくたびれた様子で出てきた。体のあちこちに紙が張り付き、取るのも面倒だといった感じで歩いてくる。
「ごめんよ、勘違いして」
「本当、まったく人の話は聞いて貰いたいものです」
「それで彼は一体誰なんだ?」
「すみません、自己紹介が遅れました。僕はアルバート・ワイズマン。この町の管理人してます」
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