二章 旧市街の冒険

第12話 旧市街

 歩いて旧市街まで向かう、休憩と準備の時間をとる。

 その後下水道に潜り休眠している鼠を片っ端から殺す。それだけの仕事。…であるはずだった。


「さて着いたここがポートベン。通称旧市街だ」

 大仰に手を広げ町の方を仰ぎ見るリーダー。その視線の先には崩れ落ちてツタが張ったレンガ建ての時計塔、かつては倉庫として使われたであろう建物。両端に線路を突き出した巨大な駅の残骸。あちこちに山積する瓦礫の山と白骨。

 放棄されてからの年月と陰鬱さを感じさせる街の跡であった。


「それでどこを拠点にするんだ?」

「役所として使われていた建物にまだ無事なところがあってそこを修繕しつつつかっているから下水の管理人もそこにいるはずだ」

「あそこたまに虫出るんですよね…」

 町の中央街道をまっすぐ行ったところにある役所。ドーム型の屋根を備え、玄関には装飾が施された巨大なふたつの扉、玄関の前には噴水、恐らくは偉人の胸像であったあろう物。その装飾物の多さ、華美が過去の栄華を物語っていた。


「随分と豪華な建物だな」

「どうせ大半は瓦礫の山だ、着いてこい」

 建物の中央部。そこだけ綺麗に物がどけられ道になっているところがあり。一つの部屋へとつながっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る