第10話 鍛冶屋
俺達はリーダーに連れられて町はずれの鍛冶屋に来た。
外観はお世辞にも綺麗とは言えず、看板は外れ掛け。破れた屋根は適当に打ち付けた板材で直してある。
「親父いるか?」
「なんだ不良息子か、今日はなんだ。ルナちゃんに迷惑かけてないよな?」
鍛え上げられた山のような筋肉、金床にぴったりと合わせたかのような身長。金属の影響か所々黒く染まった腕。古の物語のドワーフと言われても驚かないであろう男がそこにいた。
「大丈夫です。いつもの事ですから」
「そうかまたか…もう諦めたわい」
「勝手に失望されても困るんだが。それに今日は俺の用じゃない新入りの用事だ」
「珍しいな、新入りなんて。そんな狂人いまだにいたの…か…」
俺を見た鍛冶師の目があからさまに変わるのが分かった。見てはいけないもの、存在してはいけないものを見る目だ。
「鉄鬼兵…」
「え?」
「なんでもない、そいつの防具を見繕えばいいんじゃな、武器は…ロングソードがよかろう。少し待て」
そういった目を一瞬で引っ込め、見立てをつぶやいた彼は鍛冶場の奥にそそくさと戻っていった。
「…少し親父と話してくる、買いたいものもあるしな。ルナ、お前は山本に店の方で武器の事教えてやれ」
「はい、行きますよ。ヤマモト」
「おお」
俺はルナと共に武器を見ることになった。
「武器はたくさんありますが大半は鉄で出来ていますから体格、腕力から主となる武器、狭所や洞窟などで戦うことを考慮して使いやすい片手武器を選びます」
「それで親父さん?は俺にロングソードだと」
「そうですね。背が高いですし力もありそうですしね」
物語に描かれる世界に来たようだ。まさか、ソードで戦う日が来るとは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます