第6話 紹介

執務室と書かれた札が下げられた部屋に招き入れられた。俺を迎えたのは金髪を後ろに流し固め。紺のスーツを着た、引き締まった体をした男だった。


「さて、早速だが自己紹介といこうじゃないか」


そういった彼は品定めするような目で俺を見ていた。


「それなら、私からさせてもらうね。私はルナ、ルナ・エンド。遺跡探索を中心に色々やってるわ。リーダー共々、よろしくね」


「じゃ次は俺か、俺は十月、十月 正義。リーダーの所以は大体ルナと一緒に遺跡探索をしている時の責任者だからだ。よろしく」


「では、私が。私はレイス・バーグ、色々あってギルドの長を務めさせてもらっている。よろしく」


「最後に俺か…。俺は山本 行成、光銀共和国陸軍第一師団第七中隊所属。戦場で負傷し気が付けば体を機械にされて冷凍睡眠にかけられていた。それ以上はわからない。よろしく」


 全員の自己紹介が終わった。覚えている限りの事は言ったつもりだが、あまり反応は芳しくない。そんな空気の中、最初に口を開いたのはレイスだった。


「君は前時代の生き残りであるというのか」

「前時代とはなんだ?」

「そうか、知らないのか…。仕方ない最初から説明しよう」

「頼む」


 レイスの説明によると今の世界は戦争末期に投入された兵器によって改変された世界であるという。またお互いに争っていた国々は復興の過程で統合され現在は王国という一つの国を形成していること。


「説明も済んだところ、早速で悪いが君にはギルドに入ってもらう。君の身に起こったことも依頼をこなしていくことでわかるだろうしな」


恐らく俺を手元に置くことで監視し、あわよくば便利使いしようという魂胆なのだろうな。ただ、今の俺には選択肢がない。


「よろしくお願いする。ただ仕事は彼らと一緒にさせてほしい」

「よいだろう、もとよりそのつもりであったしな」


かくして、ギルドに所属し働くことになったのだ。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る