第5話 ギルド

 町へ着いた。

 大きな町だ。街を取り囲む防壁、門から延びる中心街道に所狭しと並ぶ様々な商品を扱う露店群、それを目指して群がる客たち。

 二階建てレンガ積みの建物が整然と等間隔に引かれた街道に沿って立っていた。

 そして、その背後に立つ天を衝かんとする高さの塔を四方に備えた巨大な城がそびえ立っていた。

 一つの建物の前で降ろされ藁から解かれた。


「さて、着いたわ。ここがギルドよ」

「ここが…」


 通りの中で一番大きく豪奢な建物がギルドだった。

 紋の彫られた広く大きな扉、入り口からすぐの酒場、奥に鎮座する掲示板と受付。

 吹き抜けの二階に続く階段と多くの部屋を抱えた廊下。

 中央に一つだけ装飾の施されたドアがあり、執務室の立て札が掛かっていた。


「あなたはしばらくここで待ってて受付で話付けてくるから」

「荷物の見張りも頼んだぞ」

「ああ、任された。いってらっしゃい」


 彼女とリーダーは俺の事情説明に行った。

…周りの目が怖いな、まるで自分の領域に見ず知らずの他人は入り込んだ物を見る目。

そういったものであるのは理解できる、多分どうにもならない類のものであることも分かっている。が、それにしても異様なのだ。親兄弟を殺されたような視線なのだ。

(まるで敵地だ)

そう考えていると不意に声をかけられた。


「なぁ、あんちゃん」

「すまない、なんだ?」

「いや、そこをどいてくれないか?商品を入れなきゃならないんだ」


 声を掛けられた方向には白髪で背の低い、卑屈な表情を浮かべた男が立っていた、

その背後にはギルドの紋を彫り込まれて、物資を積んだ馬車が四台止まっている。

ギルドの御用商人だろうか?

「すまない、いまどく」

「ああ、助かるよ。すまないな」

 男はギルドの通用口から中に入っていった。


 その後しばらく経ち。

「待たせたわね!許可が取れたから早く来て」

「ああ、今行く!」

 彼女に呼ばれ、俺はやっとギルドに入ることが出来たのだった。


「…あの男が例の」

「気をつけろ、古代兵器らしいぞ」

「分かってる、だがな例のお方からの依頼なんだやるしかないだろ」



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