第四部 第六章 第十話 存在特性を求めて
桜花天・鳳舞城──。
その天守の間に呼ばれたライとメトラペトラは、玄淨石鉱山の崩落阻止の褒美としてドウゲンからの宴の誘いを受けることとなった。
当然ながら、今回はトウカも同行している。
「ハハハ……。それで霊獣コハクを見送れなかったのかい?それは残念だったね」
「お恥ずかしい限りです。何故か眠りに落ちると目覚めなくて……」
結局……ライは丸二日眠り続け、今朝方ようやく目覚めを果たした。
しかし既にコハクとスイレンの姿は無く、ライは改めて己の体質を見つめ直す必要性を再確認させられることとなる。
別れの挨拶が出来なかった為、コハクは残念そうだったというから尚更だろう。
「う~ん……ライ君の身体が力に追い付いて無いのかな?大聖霊としてはどう思うんだい?」
「何とも言えんの……此奴の場合、前代未聞のてんこ盛りじゃからな。肉体の不具合ならフェルミナにでも調整して貰えば良い。勿論、ペトランズに戻らねばならぬが……」
「取り敢えず、それは修行を終えてからで良いです。本当にマズイ時は帰りますけど、今はまだやることもありますし」
その言葉に安堵するトウカの表情をドウゲンは見逃さない。流石は親子。前回のトウカの行動容認といい、ドウゲンの娘への想いが良く分かる。
「それで今回の活躍に対する褒美なんだけど、何か希望があるかい?」
「褒美は要りません。今回は久遠国の為より、コハクの為としての意味合いが強いですから」
「う~ん……それでも、結果として国の為になったんだ。遠慮はしないで欲しい」
「………ドウゲンさん、本当は褒美を出す程の結果ではないと分かってるんじゃないですか?」
ライの質問にドウゲンは答えない。そしてトウカは、ドウゲンのその反応の意味が分からず首を傾げる。
「ライ様……それはどういう意味でしょう?」
「………。玄淨石の鉱山の大部分がコハクだった。逆に言えばそれは、残された部分からしか玄淨石が採れないことになるんだよ」
「!じ、じゃあ鉱山は……」
「近いうちに枯れるじゃろうな……。確かに恩賞を貰う程の結果では無い、か……」
霊獣コハクの分身を作ったライだからこそ、大地に残された未採掘部分を把握している。大まかな見立てだが、あと三年程で掘り尽くしてしまうだろう。
「……ライ君が『コハクの為に行動した』から褒美は要らないと言ったように、私は『民の為に鉱山を残してくれた』礼がしたいんだ。ライ君は鉱山維持ではなく、民の為に山を残してくれたんだろう?」
「…………」
「これでも人を見る目には自信があるんだ。惚けても無駄だよ」
全てを出し切ってまで残そうとしたのは産業維持の為ではなく、そこに暮らす者の故郷を守る為。ドウゲンはライの行動をそう捉えている。
「ですが……鉱山が無くなってしまったら、あの辺りの方々の暮らしは……」
「大丈夫だよ、トウカ。それはお前のお陰かも知れないよ?」
「……?どういうことですか、お父様?」
ドウゲンは少しだけ悪戯じみた笑顔を浮かべていた。
「あの辺りに神社が建つ予定なんだ。鉱山が崩れなかったご利益……つまり厄災除けだね。何でも『空を飛ぶ金の狐に乗った天女』が目撃されたんだって」
これを聞いたトウカは真っ赤になり顔を手で覆っている。まさか自分の神社が建てられることになるとは思っていなかったのだ。
「それに鉱夫の怪我も治しただろ?あれも合わせて神社の建設が決まった。鉱山が尽きる前に建築は完成する。きっと参拝客で溢れるからあの辺は潤うだろうね」
「成る程のう……良く考えたものじゃ。まさに久遠国ならではの策じゃな」
ディルナーチ大陸は何でも祀る……しかも明確なご利益まで見せたのだ。国中に噂が広がるのは想像に易い。
恥ずかしさで顔を覆い正座しているトウカの傍に寄ったメトラペトラは、膝の辺りを前足で叩く。顔を見せたトウカは涙目だ。
「ナイス天女!」
「や、やめて下さい、メトラ様!ライ様も何か言ってください!あれはライ様が……」
ライに救いを求めたトウカは、親指を立て満面の笑顔の『無責任勇者』を目撃する。
「ナイス、天女姫!」
「もうっ!ライ様まで!」
「アハハハハ!」
天守が笑いで満たされたのは何時以来だったか……ドウゲンは妻ルリをふと思い出す。
娘であるトウカは妻の面影を僅かに残しているが、どちらかと言えば自分に似ていると思っている。
ドウゲンの妻ルリは実におっとりとした女性だった。顔は不知火領主の妻・スズと瓜二つ。双子だから当たり前なのだが、性格は真逆と言っても過言ではなかった。
スズはしっかり者で自分に厳しく、ルリは誰に対しても優しく穏やか。二人の許嫁のうちドウゲンの心を射止めたのはルリ……それもまた運命と言えただろう。
(君の視た青年は今、私の目の前に居るよ。本当に……凄い力の持ち主だね……)
異国の勇者の来訪は亡き妻ルリから聞かされていた。その結果として娘が救われること、そして己の辿る運命も……。
「どうしました、お父様?」
浮かぬ顔のドウゲンに気付いたトウカは、心配気に父を見つめていた。
良い娘に育った……ドウゲンはそれが喜ばしかった。
「ん?ああ……何でもないよ、天女姫」
「お父様まで……」
「アハハハ……。まあ、そのお陰で助かる者達が居るんだし、誰もトウカとは思わないから我慢してやって欲しい」
「……仕方無いですね」
トウカは渋々ながら承諾した。確かに自分と分からなければ問題はない。
と、そこでライは懐から掌大の魔石を取り出した。
「じゃあ、これを御神体に使って下さい」
「それは……まさか純魔石かい?何処でこれを……」
「創りました。大聖霊直伝の手法です。そうだ!折角なんで回復魔法を籠めますね?」
最上位回復魔法 《無限華》と《自然魔力吸収》を純魔石に《付加》。これで魔石に触れた者は自動回復が発動する。
通常の魔石では不可能な魔法でも、これだけ大きな純魔石ならば問題なく発動する筈だ。
それに、魔力に溢れるディルナーチならば純魔石に常に魔力が充ちる。これ以上御神体向けの物は存在しまい。
「本当に良いのかい、こんな貴重な物を……」
「鉱山は僅かとはいえ結局崩しちゃいましたからね。これで俺の気が済むんです。是非に」
「……じゃあ、やはり褒美は受け取って欲しい。それなら私の気が済む」
「………わかりました。じゃあ──」
ライが望んだのは『存在特性』に関する智識。久遠国に滞在する理由の一つにして、長い目で見ても必要になる力。
リクウによると久遠国で最も『存在特性』に博識なのはドウゲンだと言う。是非、この機会に聞いておきたかった。
「そうか……わかった。私が知り得た範囲だけど、知識を託すよ」
「ありがとうございます」
「トウカも聞いておくと良い。力が必要になる日が来るかも知れないから」
「はい、お父様」
ドウゲンは立ち上り、棚から取り出した一冊の本をライの前に差し出した。
「これは……?」
「私が集めた情報を書き記したものだよ。結論から先に言うと、存在特性を確実に修得する術は見付からなかった」
「そう……ですか」
「まず、普通は己の存在特性が何か分からないんだ。この国では、感覚を掴み易い環境にいるから修得出来た者が多いというだけに過ぎない。後は異世界渡り……こればかりはね」
「…………」
確かにまず『存在特性が何か?』の時点でライは足踏みしている。
「存在特性を掴み易い環境というのは何じゃ?」
トウカの膝上に移動し丸まったメトラペトラは、ドウゲンに説明を求める。
「うん。まず聞きたいんだけど、ライ君は『天網斬り』はどこまで学んだ?」
「えぇと……二段階は修了して残り二段階だと……」
「凄いな……まだカヅキ道場に入ってひと月経過してないのに……」
『天網斬り』は五年をかけて通常の修行と平行し修得して行くもの。しかも才覚も必要で、当然ながら
だが、ドウゲンは驚きはしても恐れている様子はない。
「じゃあ、天網斬りが世界の法則に介入する技法というのは聞いたね?天網斬りは言わば『限定型存在特性』と表現すべきかな……使い手であればその感覚を確実に掴んでいる」
「つまり、天網斬りを使い熟せば『存在特性』が使えるんですか?」
「う~ん……すぐ使えるのとは訳が違うかな?感覚を掴めるから自らの存在特性を理解した際、使用が容易になる。逆に感覚を掴んだ状態なら存在特性も掴みやすい……とでも言えば良いかな?」
「要は天網斬りを極めろということじゃな。それが今出来る最たる近道かの」
「そういうことだね。王家筋に存在特性が多いのは『華月神鳴流』が王家の流派だからだよ」
そこでライは二つの疑問に気付く。今更ながらの話ではある一つ目の疑問……それはやはり、ライの幸運さに関わりのあるものかも知れない。
「もしかして……天網斬りって『華月神鳴流』しか使えないんですか?」
「うん。天網斬りは華月神鳴流の【裏奥義】といったところかな?対人には使用禁止になっている【対魔獣】の技だ。知らなかったかい?」
「はい。てっきり久遠国ではどの流派も使えるのかと……。じゃあ、俺は幸運だったんですね……」
「君は辿り着く道のりを歩いていた。ラカン様やライドウ、ジゲンに会った時点でね」
戦うことは無かったが、存在特性を使えたハルキヨも華月神鳴流の使い手と考えて間違いないのだろう。
そして、それだけの者と出会っていたならば天網斬りに繋がったことも必然……ドウゲンはそう言っているのだ。
「ともかく、カヅキ道場で学び続けることが最短ならば話は早かろうの」
「そうですね。後は修行に専念すれば良い訳ですし」
そこでもう一つの疑問をドウゲンに尋ねる。
「……それ以外に存在特性を使える者はいないんですか?」
「つまり、王家筋や華月神鳴流以外での『存在特性使い』かい?」
「はい」
ライが気になったのはホオズキやハヤテのこと。二人が存在特性を使えることにラカンの手が加わっているのかは分からないが、少なくともホオズキは剣術使いではない。
「天然で使える者は確かにいるよ。稀にだけどね」
「それは魔人かどうかは関係ないですか?」
「寧ろ魔人の場合は、何故か女性が存在特性を身に付けづらいみたいだ。男は関係ないのにね……。天然の存在特性持ちは天才の部類。事実、久遠国内では王家筋以外の『存在特性使い』は片手の指で数える程しかいない」
その言葉を受けて、ライはメトラペトラに視線を向ける。だが、メトラペトラは首を傾げていた。
「何じゃ?何が言いたい?」
「いや、だって……御神楽の中に居るじゃないですか」
「……はっ!忘れておったわ」
今度はドウゲンが疑問の表情を浮かべていた。
「ドウゲンさん。スズさんやルリさんは?」
「不思議なことに、王家筋の女性は若くして存在特性に目覚める場合がある。ただ先程も言った様に、魔人化していると逆に存在特性が目覚め難い印象があるね」
トウカ、スイレン、そしてスイレンの母スミレは存在特性を使えない。女性魔人の何が存在特性を阻害しているのかは、確証がないとのことだ。
「実は一人、魔人で存在特性持ちの女性が居るんですが……しかも剣士でもないです」
「それは……俄には信じられないね。天才としか思えないよ」
「メトラ師匠……ホオズキちゃん、天才なんだそうですよ?」
「あんな残念なのにのぅ……」
御神楽の魔人・ホオズキ。魔人にして存在特性『共感』を持つ女性。戦闘特化ではないが、言われてみればある意味天才的な気もする。
「王家筋で無いなら間違いなく天才だよ、その娘は」
「血筋までは分かりませんが、御神楽の娘ですよ。そう言えば御神楽にはもう一人居ましたけど……」
「ハヤテ君のことかな?彼は一応王家筋、それに華月神鳴流の使い手だよ。学んだのはリクウの父からの様だけどね」
御神楽頭領ラカンの側近ハヤテ。存在特性【隠形】の使い手は、不知火に仕える役人の子だったらしい。
「じゃあ、ホオズキちゃんが特別なんだ……」
「世の中にはそういう人もいるんだよ。だから多様性が生まれる。だけど、その娘が特別を望まないなら普通に接してあげた方が良い」
腕を伸ばしたドウゲンはトウカの頭を撫でた。それは娘について語った言葉でもあるのだろう。
「ありがとうございました。褒美、確かに頂きました」
「本当にこんなので満足なのかい?」
「今の俺には何より欲しかった情報ですよ。やることもハッキリとしましたから」
「そうか。なら良かった」
ドウゲンは満足そうに頷いた。
「ところで、玄淨石鉱山なんですが……」
「何か気掛かりがあるのかい?」
「いえ……そうではなく、コハクから何ヵ所か場所を聞いたんですけど……」
「…………君は次々に人を驚かすんだね」
流石のドウゲンもやや呆れ気味である……。
つい先日は鉱山の維持か放棄かで右往左往をしていたのに、あっさりと『鉱脈知ってるっス!』と言われればそんな心境になるのは仕方が無いだろう。
「わ、悪気はないんですよ?それで……コハクの記憶を見せて貰ったので、場所を確認したいのですが……」
「………う~ん。でも、どうしようか」
「な、何か問題が?」
「いや……ライ君は褒美を受け取らないだろう?」
「褒美が欲しい訳ではないので……あ!じゃあ一つお願いして良いですか?」
「何か思い付いた?」
「はい。是非にお願いしたいことが……」
「わかった。聞こうか」
ライの頼みはドウゲンも納得するものらしく、快く引き受けてくれた。
「では、後で鉱脈の場所を確認してから地図を渡します」
「わかった。君の頼みの方も準備しておくよ」
「お願いします」
鳳舞城を後にしカヅキ道場に戻ったライ達。リクウとスミレは珍しく居間で茶を飲んでいた。
「戻ったか……」
「はい……師範、明日一日出掛けて構いませんか?」
「別に構わんが……」
「ありがとうございます。実は友人の結婚式の準備がありまして……」
「………友人?お前に?え?」
リクウは『俺は騙されねぇぜ?』と言わんばかりの顔をしている……。
「……そ、そんなに友人いなそうに見えます?」
「冗談だ。そういうことなら良いだろう」
「助かります」
ライの発言の矛盾。それを感じたトウカは、思わず質問せずにいられない。
「ライ様は先程、『鉱脈の場所を調べに行く』とおっしゃっていましたが……」
「うん、それも間違いじゃないよ。鉱脈の一つは不知火と嘉神の境なんだよ。結婚式の関係者はその二つの領主なんだよ」
「そうでしたか……」
「ついでだから色々回って来るつもりだよ。御神楽に行ってコハクとも話がしたいし」
「………ご迷惑でなければ、私もご一緒出来ませんか?」
「俺は構わないけど……」
ライはチラリと視線を送るが、リクウは素知らぬ振りを貫いている。
「おじ様。ライ様に同行したいのですが……」
「駄目だ」
「何故ですか?」
「駄目ったら駄目だ。私は許さんぞ!」
まるで娘の外出を拒む親父の如きリクウ。実の親であるドウゲンより寧ろ面倒な男だ。
だが、それもトウカを大事に思う故だということは皆も理解している。
そんなリクウを上回る発言者が一名、助け舟を出した。
「じゃあ、私が許可します。行ってらっしゃい?」
「スミレ!何を勝手な……」
「あら?あなたの若い頃はもっと……」
「待てぇい!スミレ!余計なことは言わんで宜しい!」
「では、許可を?」
「ぐぬぬぬぬ……!」
スミレの言葉に逆らえないリクウは、バッ!っと立ち上がりライを指差しつつ鋭い眼光を向ける。
「くっ……か、勝ったと思うなよ?バ~カ、バ~カ!」
リクウはそそくさと居間を後にした……。
「……………」
「………ウフフ、御免なさいね。あの人は素直じゃないから……本当はライさんを信用してるのよ?」
「は、はぁ……そ、そうなんですか……」
部屋から立ち去る際のライの背後を抜ける一瞬、二度ほど蹴られていなければライも素直に信じたかも知れない……。
「ありがとうございます、おば様」
「トウカちゃんはもう少しわがままでも良いのよ。ライさん、お願いするわね?」
「わかりました……どうせなら今日出掛けようか、トウカ?」
「はい!私、急いで準備してきます!」
リクウ同様に素早く立ち上り別宅に向かうトウカは、鼻唄混じりだった。
「メトラ師匠は……」
「今回はワシは行かぬ。少し調べたいこともあるからのぅ」
「……わかりました。じゃあスミレさん、師匠のご飯お願いします」
「大丈夫よ。任せて」
「お待たせしました、ライ様!」
「うぉう!」
背後からの声に驚いたライが振り替えると、そこには準備を済ませたトウカの姿が……。
今回は手荷物は持っておらず、風呂敷を首に掛けているだけである。
「は……早かったね……?」
「はい!あまりに楽しみで急いでしまいました!」
「そっか……じゃあ行こうか」
「はい!」
トウカは飛翔魔法を使えない。当然ながらライが抱え上げ飛翔することになる。
「それじゃ、行ってきます」
母屋の玄関先を出た二人。ライはトウカに急かされ飛翔し去っていった。
「ウフフ。嬉しそうで良かったわ」
「………お主も酷い奴じゃの。ライはいずれペトランズ大陸に帰るんじゃぞ?」
「それでも良いじゃない……。メトラちゃんは不満なの?」
「そういうことではない。姫であるトウカは久遠国から離れられまい?あの二人を近付けても……」
「わかってるわよ。それはトウカちゃんも理解している筈よ?結果、どう行動してもトウカちゃんの問題なの」
それは別れが来ると分かっていてトウカに恋をさせる行為。傷付くのがわかっていてそれを推しているのは、最早優しさでも何でもないのだ。
しかし……スミレはまるで当たり前の様に行っている。端からみれば性悪に見えるだろう。
そんなスミレを見つめるメトラペトラはある仮説を立てていた。
「お主……どこまで知っておるんじゃ?」
「…………」
「ドウゲンの妻にしてトウカの母、ルリは未来視の特性持ちじゃったのじゃろ?恐らく残された者の為に幾つかの未来視を伝えている筈よのぅ?」
「メトラちゃんは鋭いわね……流石は大聖霊様」
「何……双子の姉スズには未来を伝えておったのじゃ。当然、ドウゲンにも伝えておるじゃろう?家族ぐるみの付き合いのあるお主も同様ではないかと思うたまでよ」
「……じゃあ、最後まで内緒にしてね?お願い」
「……………」
悪意は感じない。寧ろトウカの為に何かを為そうとしている様にすら見える。
それを理解したメトラペトラは深い溜め息を吐いた。
「邪魔はせぬよ……好きにせい。じゃが、ワシはワシで勝手にやるぞよ?」
「流石メトラちゃん!お銚子一本付けちゃおうかしら?」
「……ふ、ふん。それくらいでワシは懐柔など……」
「確か『みなごろし』の限定特級酒があったわね……」
「ホントに~?ヒャッホウ~!酒じゃ酒じゃ~!」
結局、メトラペトラはこの事をライに伝えることはない。
やがて訪れるディルナーチ大陸との別れ……ライはその時、多くの者の想いを知ることになるだろう。
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