第二部 第四章 第五話 世界の広さ
海王の体内を照らす暖かな光……。その光の中心に居るライは、海王リルを背後から抱き締めている。
更にライの背中に触れ力を発動しているメトラペトラは、弟子を心配し声を掛けた。
「どうじゃ?何か違和感は無いかぇ?」
「大……丈夫です。今のところは、ですけど」
「うむ。ではまず、お主とワシの『魂の経路』を限界まで開くぞよ?」
暖かな光は一瞬、その色を変える。仄かな橙色から朱色へと変化し、再び橙色の光となった……。僅かながらにライに苦痛が生まれるが、問題になる程ではない。
「ふむ……割と安定しとるの。では、続けてフェルミナの経路を開くぞよ?」
「フェルミナ側には問題ありませんよね?」
「心配要らん。経路を開くのは概念の幅を広げる為じゃ。力を奪う訳ではない。ただ、フェルミナ側にも『何かやっている』とは伝わるじゃろうがの?」
ライが単独で力を行使するならば魔力を対価にする必要があるが、今回はメトラペトラが代理で【概念】を行使するのである。魔力を必要とするのではなく、大聖霊達の【概念の力】でライを満たしそれをリルに向け行使するのだ。ライの役目は謂わば『器』の様なもの……一時的とはいえ世界の法則に触れることになる……。
続いてメトラペトラはフェルミナの『魂の経路』を開く。橙色の光は再び一瞬の変化を見せ、淡い緑色の光へ……そしてやはり直ぐ様橙色へと戻る。
そこで、意外なことが一つ……始めから感じていた痛みが消えたのだ。それは、契約の長さによる慣れの影響だとメトラペトラは告げた。
「ワシとは契約して間もないからのぅ……まだ馴染みが薄いのじゃろう。……しかし、予想外にフェルミナの力が馴染んでいる様じゃ。これならば上手く行くやも知れんわぇ……油断は禁物じゃがの?」
「つまり……気を抜くなってことですね?」
「そうじゃな。では、いよいよ力を混ぜるぞよ?」
メトラペトラは目を閉じ何かを呟き始めた。普通の人間ならば耳慣れない言葉──しかしライには馴染みある言葉である。
『高速言語』……一言で多数の意味を含む言葉。それを幾つも紡ぎ合わせ、変化の条件付けとして組み上げている。
そこに至り、ライに異変が起こった……。
「む?ライよ……大丈夫かぇ?」
「身体は問題ないんですが……妙な眠気が……」
「もうしばらく堪えるんじゃ。間も無く『条件付け』が終わる。海王はデカイからのぅ……どうしても時間が掛かるのじゃよ」
「大丈夫……です。今はまだ……」
痛みに堪える自信はあったが、まさか眠気に襲われるとは予想外だった。これが更に強まることは、ある意味危機……。強力な眠気は一気に意識を奪う恐れがある以上、それに堪えられるかは正直分からない。
しかし……そんな不安は杞憂に終わった。
メトラペトラは無事に力を完成させ、一気に海王……リルに変化を促したのだ。暖かな光はリルに流れ込み、吸い込まれる様に消えた。
「フゥ……終わったぞよ?」
「上手く行ったんですか?」
「うむ。間違いなく……の」
見た目は変化していないリル。しかし、メトラペトラの言葉に偽りがあるとは思えない。
「リル。どんな感じだ?」
「おぉ~……おめめ、よっつ!そととなか…。からだふたつ!」
「へぇ……それってどんな感じなんですかね?」
一つの意識に二つ身体。同時に扱うのは難しいのではないだろうか?提案した張本人の癖に、今更不安になるライ……。
しかし、メトラペトラは事もなくこう告げた。
「さてのう……じゃが、問題なかろうよ。そんなもの、慣れじゃよ。慣れ」
「そんなもんですかね?」
「一応どちらかに意識が傾いている場合は、残りの片方が本能での行動を取る様にはしてある。小さいリルが何かに夢中になっても、この巨体側は勝手に縄張りを護るじゃろうし食事もする。安心せい。……それより、お主の方こそ身体に問題ないかぇ?」
「え……?俺ですか?今のところは……」
その言葉と共にライの視界は“グニャリ”と歪み、更に渦巻くような目眩に襲われた。続いて猛烈な眠気に包まれ、ライは抵抗すら出来ず意識を閉じることとなった……。
(ここは……何処だ)
以前も似たような事があった気がする。何もない……自分の身体すらない空間を意識だけが漂う……そんな事が、確かにあった筈……。
だが今回は、暗闇の中ではなく『白一色』の世界。そこにいるだけで安らぐような……優しさに満たされるような……それでいて何処か寂しいような、不思議な感覚に包まれている空間だった。
(どうしても君が行かないとダメなのかい……?)
声が聞こえる。優しさを含んだ、しかし焦れている男の声。更に、応える声がもう一つ……。
(仕方ないわよ……それが私の責務だから。でも、悲観はしてないわよ?私は諦めが悪い女……フフッ、貴方も良く知っているでしょ?)
透き通るような女性の声。やはり優しさを感じる声だった。
(ならば私も行くよ。私は弱いが、僅かでも君の助けになれる筈だ。壁くらいにはなれるだろう……?)
(馬鹿ね……貴方が壁になったらそれを庇うわよ、私は……。結局、貴方は私の弱点なの。大人しく待っていてね?)
(そんなの……堪えられない)
声だけなので表情は分からないが、男はさぞ苦悶の表情を浮かべているのだろうことだけは感じ取れた。
(代わりに貴方にはお願いがあるの……貴方のその力は、この世界の誰よりも優しいわ。だから皆を良い方向に導いて。私はこの世界が好き。命あるもの全てが愛おしい。人間なんて特に不思議で大好きよ?だから、バベルみたいな奇蹟も生まれたのだと思うし……)
(私には……皆を導ける程の力はないよ……。それに、君がいない世界など好きになれるとは思えない。きっと、全てが嫌になる……)
そこで女はからかうように笑った……。どこか寂しさを含んだ笑い声。それから優しく諭すように男に告げる。
(フフ……貴方は優しいから『嫌いになる』なんて無理よ。私がお願いしなくても、貴方は必ず全てが愛おしくなる。………何も全てを導かなくて良いの。手の届くものを、ほんの少し導けばそれで……)
(……………)
(きっといつか……また逢えるわ。私の愛しい貴方……。だから……待っていてね……)
(…………ああ。待っているよ。いつまでも……必ず。たとえこの身が朽ちようと、ずっと待ってる。だから、いつ…か…必……ず……)
声が少しづつ遠のいて行く中、ライは心が抉られる感覚に見舞われる……。そんな状態でも急速な意識の覚醒をしているのだと、自分でも理解することが出来た。
そして目を開けたライだったが……その視界は真っ暗だった。まだ夢の中にいるのかと疑いつつあったその時、あまりの息苦しさに気付き飛び起きることとなる……。
「ブハッ……ハァ……ハァ……。な、何だ?」
辺りを見回せば今だ海王の体内ということは理解できる。天井付近の光は煌々と周囲を照らし、ライの近くにはメトラペトラとリルが見つめていた。
「ライ!おきた!ライ~!」
「リル……メトラ師匠……俺は一体……」
「ようやく目が醒めた様じゃな。で、どこまで覚えておる?」
「えぇ……っと、リルの存在概念変更に成功した辺りまでは……」
「うむ。お主はその後、直ぐに眠りに落ちたんじゃ」
「眠りに……どのくらい……」
「大体、三日程かの……」
「み、三日も!!」
メトラペトラの話では揺すっても叩いても起きなかったらしい。一応、ライの身体を調べたのだが異常は無いらしく、不慣れな【概念力】使用による反動だろうと様子を見ていたそうだ。
「……先刻の黒いのは…」
「ん?ああ。リルがお主の覚醒に気付いたらしく顔に乗っていたんじゃが……泣くほど苦しかったのかぇ?」
「えっ……?」
ライは言われて初めて自分が『涙を流していた』ことを理解した。慌てて涙を拭い、いつもの笑顔を浮かべる。
「いやぁ……ご心配をお掛けしました……」
「まあ、無事で何よりじゃよ。じゃがな、ライよ……ここで残念なお知らせじゃ……」
「な、何ですか、改まって……?」
「涙が溢れているのは瞳からだけではないぞよ?股間を見るが良い」
「ま、まさか……!」
ライの頭に嫌な記憶が過る。自分は成長した筈だ。そんなこと有り得ない!……と。
だが、現実は容赦がないということをライは突き付けられる結果となる。股間の涙……『お漏らし』という事実を!
「クッソォォォォォ━━ッウ!!」
「何じゃ?大きい方もしておるのか?」
「ち、違いますよ!」
「紛らわしい奴め……良いから早よう脱げ」
止まっていた涙が再び流れ出しながらも、言われるがままに服を脱ぐ『お漏らし勇者・リターンズ』……。メトラペトラはその力を惜しみ無く使い大量の湯をライにぶっかけた。
お湯のその勢いは意外に強く、かなり離れた位置でまで流されたライ……。ようやく流れが落ち着くとフラフラと立ち上がる。リルも一緒に流されていたらしく、笑いながらライの側を跳ね回っていた……。
「くっ……二度も……こんな恥辱を……!」
「二度?まあ、仕方あるまい。一時的にでもワシら大聖霊の力をその身で“掛け合わせ”たのじゃ。寧ろ、お漏らしと三日程度の昏倒で済んで良かったわのぅ?」
並の人間ならば精神が耐えられない……それだけの力の器になったライをメトラペトラは素直に感心している様だった。
「メ、メトラ師匠……この件はどうか……」
「誰が言うものか……『お漏らし勇者』の師などと恥ずかしくて言えんわ」
「ごはぁ!!」
「冗談じゃ冗談。気にすることでもあるまいよ?人はそういうものじゃろう?」
「うう……優しさが痛い……」
「ええから早よう着替えんか、『丸だし勇者』……いや、待て!お主こっちを向いて動くな!」
突然の羞恥プレイ宣告。続け様の恥辱にライの精神はガリガリ削られて行く……。
「うぅ……何でこんな……」
「ウルサイ!それどころではないわ!自分の胸を見てみぃ!!」
「む、胸……?」
言われるままに視線を向けると、そこには大聖霊の紋章があった。但し一つだけ。紋章の形は見たことがないものへと変化していたのだ。
「な、なんで一つだけ……?」
「………お主との繋がりは切れておらん。ちとフェルミナの力を使ってみよ」
「わ、分かりました」
近くの舟の木片を拾い、フェルミナの紋章を頭に浮かべ小さな花を思い描く。しかし、変化は無い。
「そ、そんな……フェルミナとの契約が切れた?」
「いや……『魂の経路』は感じるぞよ?寧ろ以前より強く、の?」
「じ、じゃあ何で……」
「…………紋章かも知れぬ。思い浮かべる紋章を現在胸にあるものにしてもう一度やって見い」
「わ、わかりました!」
同じ手順を繰り返すライ。但し、思い浮かべる紋章のみを変更した。結果、見事な花が木片一杯に咲き乱れる。
「……やはりか」
「一体どういうことですか?」
「……初めての事態ゆえ断言は出来ぬ。が、恐らく……」
「恐らく……?」
「その前に服じゃな。ブラブラブラブラと気になって仕方がないわ!」
「うわぉ!」
改めて新たな服を『収納鈴』から出して貰ったライは、いそいそと着替え始めた。リルがライの股間の振り子に興味を示しそうだった為、実に素早い着替えだったそうな……。
因みにお漏らしした服はメトラペトラのお湯で洗浄されてはいたが、火炎魔法で灰にした。恥辱は濯がねば……いや、雪がねばならないのだ!さらば『兵士の服』!
「で、どういうことです?」
「何……大したことではない。お主の持つ紋章が融合して一つになっただけじゃ」
「………ソレ、大したことじゃね?」
「ま、まぁ、そうとも言えるがの?と、ともかく紋章は融合した。その紋章は二つの【概念】を顕している。以前話した様に大聖霊の力は神の力の分散じゃ。元が同じなら融合しても不思議ではあるまい」
実はメトラペトラもやや混乱気味らしい……。
「理屈はわかりますが……問題とかは無いんですかね?」
「それは無いじゃろう。先程お主が【命】の概念を使用した際などは寧ろ見事なものじゃった。良しはあれども悪しはなかろうよ」
「じゃ……じゃあ俺、もっと強くなったとか?」
「流石に急な成長は無いじゃろうな。大体、楽して強くなるなど戯け者の願望じゃ。捨てよ」
「……はい。ごもっともです」
素直に忠言を聞き入れたライは改めて本題に移る。
「リル。外に出たいんだけど……」
「おそと~!こっち!こっち!」
「行きましょう、師匠」
「ようやくじゃな……外に出たら美味い肴で酒飲みたいわぇ」
「そっすね。海の近くでしょうから、何か探しましょう」
暗き洞を照らしつつしばらく進むと小さな分岐に差し掛かる。その先でも更に分岐を繰り返し、肉壁の行き止まりに到着した。
「行き止まり……?リル?」
「おそと~!このさき~!」
「……この先?」
リルが手を翳すと、肉壁はトンネルの様な穴が開き隣の部屋へと続く道となった。そこから更に奥へと進めば、かなり大きな空間が広がっている。
「おぉ……最初の場所より広くないですか?」
「うむ……しかも明かりもある。この光はもう不要かの」
メトラペトラの生み出した光はずっと追従していたが、ようやくその役割を終えた。
「それにしても風が強いですね……」
「呼吸器なのじゃろう。光があるということはかなり外に近いと見た」
「リル。最後にもう一度聞くけど、本当に一緒に行くかい?」
「いく~!おそと、あそぶ~!」
「わかった。じゃあ行くか!」
「おぉ~っ!おっそと!おそと!」
更に光に向かい進む一同。そしてとうとう、空の光が……。
「ようやくですね。凄い長かった気がする……」
「実質、一週ほどじゃがの。長く感じたのは海王の体内空間の影響じゃろう。さて、それじゃ……」
「おそと~!!!!」
リルが叫ぶと同時に猛烈な風が巻き上がる。飛翔魔法で浮遊した状態のライとメトラペトラは、その奔流にあっさり飲み込まれ大空高く舞い上がった。
「うわぁぁぁ!お、墜ちる~っ!! 」
「馬鹿たれ!お主、飛べるじゃろうが!!」
「そうだった!!哈ぁっ!」
海王の呼吸に巻き上げられた高さは相当なモノだったらしく、周囲は空気が薄い。飛翔魔法がなければ色々と余裕は無かったかも知れない。
しかし今、ライはその高さだからこそ『世界の広さ』を己が目に感じていた……。
どこまでも続く青い空──広い視界の遥か先には何処かの大陸の一部が見える。改めて眼下を見下ろせば広がるのは大海原だ。更に良く見れば、至るところに小さな島がチラホラと確認出来た。
翔べるって素晴らしい、などと考えていたライ。だが……そこで早速、問題発生!
「あれ?メトラ師匠……リルは?」
「いや……知らんがの?」
周囲を見渡しても姿が見当たらない。まさか消えてしまったのかと眼下に視線を向けたその時、落下していくリルの姿が……。
「あ……。も、もしかして海王の体内から出たから……」
「……うむ。翔べんのじゃろうな、ワッハッハッハ!」
「わ、笑ってる場合じゃないですよ!リル~!今行くぞ~!?」
急降下に加え、空気の膜と纏装による加速。瞬時に追い付きリルを抱きかかえたが、加速しすぎて止まれない。何度も風属性纏装で空を蹴り減速をするも激突は避けられない状況だ。
下には小さな島があり、たとえ海王たる力を持つリルでもダメージを免れないだろう。
そこで使用したのが【空縛牢】である。圧縮はせず空気によるクッションを形成。そこに突っ込んだライとリルは、空気の膜で一跳ねして砂に頭を埋めることとなった……。
「やれやれ……まだまだじゃな。飛翔魔法を使いこなせれば急制動など容易いことよ。妙な加速に力を費やす前に飛翔魔法を極めることじゃ」
ライの側にゆっくり降りてきたメトラペトラは、そのまま木陰に移動してアクビを一つ……。
「ブハッ!ペッ、ペッ!リル!無事か?」
「プルプルプルプル!おぉ~!すなだ~!!」
「げ、元気だな、海王さんは……」
「げんき~!おっ?あし~?」
シャチのヒレだったリルの下半身は、いつの間にか人の足に変化している。どうやら外界に上手く適応している様だ。
リルは……やはり女の子だった。流石にスッポンポンなのは問題な気がするので、ライはリルに自分の上着を着せることにした。そして改めてメトラペトラの元に向かう。
「メトラ師匠……服、もう一着くらいありません?」
「ん~?……今あるのが最後じゃ。布ならあるがの?」
「じゃあ布でお願いします。……。疲れちゃったんですか、師匠?」
「いや?弟子が酒の肴を取ってくるのを待っとるだけじゃが?」
「…………。わ、わかりましたよ。少し待ってて下さい」
リルの腰に布を巻き服を固定すると、ライはそのまま海と正反対の森へ向かう。メトラペトラはその行動に怪訝な表情を向ける。
「何処に行くんじゃ?」
「いや……何か銛になるものを探そうかと……。獲物を吊るす蔓とかも欲しいし…」
「吊るす『
「いや……ネタじゃないですよ?」
「大体、今のお主なら魔法で幾らでも獲れようが……何故に肉体一つで挑む?」
「漢の生き様、という気分的なもの?」
「あっそ……どうでも良いが早くせいよ?」
「くっ……。なんか今日は態度デカイな、ニャンコめ!」
「……。……お漏らし」
「直ぐにご用意致しますです、ハイ!」
森の探索は諦めて海に一目散の『お漏らし勇者・リターンズ』。瞬く間に海の幸を用意し、更に素早く木を積み上げ火を着けた。
そうして日も暮れかけた頃──旨そうな海の幸の匂いが漂い出す。メトラペトラは『収納鈴』から酒樽を用意した。いつの間にかサングラスと麦わら帽子まで着けている。もう暗いのに……。
「な、なんですか、その眼鏡は……?」
「魔導具じゃ。これを着けると味覚が洗練されるんじゃよ」
「じゃあ、その帽子は?」
「これも魔導具じゃよ?常に虫が寄ってこない優れものじゃ」
「た、楽しんでやがる……」
不満はあるが、まずは空腹を満たすことが先決。そして全員でのお食事タイム。
三日間眠っていたライは、当然貪るように魚を食いまくる。リルも同様に食べているが、明らかに身体の体積に不釣り合いな量を平らげていた。一体胃袋はどこに繋がっているのだろうか……?
対してメトラペトラは優雅に晩酌と洒落込んでいた……。
これまたいつの間にか用意されたワイングラスに酒を注ぎ、肴を頬張ると“ふぃーっ”とため息を吐き御満悦。
「満足ですか、メトラ師匠?」
「うむ……後はマッサージが欲しいのぅ……」
サングラスをずらしチラリ、チラリとライに視線を向ける酔いどれニャンコ。一応、師匠ではあるのだ。何度も我儘に付き合わせた手前たまには労うのも良かろうと、ライは膝元で目一杯撫で回す。
当然、ウットリとしながら声を上げるメトラペトラ……。
「あぁん……アタシ、今凄っごく幸せぇぇ~!!」
小さな島にメトラペトラの妙にエロい声が響き渡る──。
その日の夜は、それはそれは星が綺麗な夜だったそうな……。
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