第五話 切れない縁

 私が大学で研究を少ししていた時のこと。


 火山に興味があった私はその特徴などをいろいろ調べていた。

 もちろん、終利世山のことも。


 終利世山を調べていた時、いや調べる前から私は他とは違うような何かを感じていた。

 

 マグマの様子も他とは違うような気がする。


 そう思い、今までのデータを見ていると上空から撮った写真が見つかった。


「教授、これを少し貸してもらってもよろしいですかね?」

「ああ、役立つならいいよ。なかなか面白いだろう、こんな目線で火山を見られるのだからな」

「そう、ですね」


 教授の話を聞きながらもじっと写真を見つめる。

 

 普通にはないような“影”が見えるような気がした。

 それも小さなものではなく何かとてつもなく大きな影が――。


「ゆうっち? ぼーっとしてるけどどうしたの」

「あ、すみません。ちょっとこの火山とはいい思い出が無くて……」

「いい思い出? 昔行ったことがあるとか?」

「まぁそんなところ、ですかね」


 実際に行ったのはうそではない。

 調査のために少し行ったことはある。


 何かを感じていた私はしばらく研究し、その全貌を断端だんだんと明らかにしていった。


 その火山終利世山の下には古代遺跡がある。


 この仮説にまでたどり着いたのはそう昔のことではなかった。

 

 自分でもまさかとは思ったがもし本当に古代遺跡があるとするならいままで感じていた他とは違う何かと結びつく。


 もしそんなものがあったとしたら、それを使って新しく文明がわかるかもしれないし私も大注目されるかもしれない。


 でも、私はそれが兵器に使われたり何かに悪用されることを恐れた。


 だから、無責任だとはわかっていたけれど教授にすべて任せて教授の知り合いの館長のところに働かせてもらうことになったのだ。


 どこまでしつこいんだ。


 終利世山よ。


 じっと考える私を心配そうに長谷川さんは見つめる。


「ゆうっち、それで終利世山の事件どうする?」

「詳しい状況が知りたいです。すぐにでも確認したい」

「初めてだね、そんなに意欲的になるなんて」

「ちょっといろいろありましてね」

「そうか、じゃあ館長に言って俺らで行こうか。ちょっとでも福田さんたちの力になりたいしな」


 自分で散らかした実験器具たちは自分で片す。


 自分で発見した謎は自分で必ず解かなくちゃ!

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