第四話 探偵と因縁の敵
「で、事件ってのは何?」
「じゃあ話しますよ」
遠藤さんは黒板に何やら写真を張り付けた。
遠藤さんが言うには依頼者が渡してきたものだという。
「依頼者の名前は福田さん。温泉旅館を夫婦で営み、従業員たちとも仲良くやっていたそうなのですが最近そこら辺の地域の様子がおかしくなっているとか」
「地域が? 一体どんなことがあったの」
「地震でもないのに揺れを感じるとか。それも一人だけではなく大勢の人がそう言っているそうです」
「他に原因と考えられるものは?」
「どうもよくわからなくて。専門家にもお願いしたのですが詳しい状況はまだわかってないとか」
長谷川さんはその地域の資料を出してきた。
ずいぶん分厚い。頭が痛くなるレベルの量だ。
「ここらでは大きな火山があります。もしかしたらそこら辺を調べていけばわかると思ったんだが」
「専門家がわからないことを俺らがやるのか? でも面白そうだね」
「この科学館の人たちならいろんな知識を持った人がいますし、もしかしたらできるかもしれませんね」
こんなにぎやかな人たちなら何か奇跡を起こせるかもしれない。
本当にそう思って私は口に出した。
そんなことを考えながらも遠藤さんが来てから長谷川さんがため口になったのに驚いた。もしかして私としゃべるとき無理してる?
「あっ、あの~、普段も全然ため口で大丈夫ですよ」
「え? じゃあよろしくね」
「俺もいいかな?」
「はい! ドンと来いです」
ちょっと気持ちが軽くなったような気がした。
「で、その山の名前って何?」
「
「へぇ、火山ねぇ……」
その名に空気が一変した。
終利世山。私はこの名を二度と聞くことはないと思っていた。
私がここに就職した理由にもなったのにまさかここまで追ってくるとは。
終利世山は私の宿敵だ。
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