第二話 愉快?な館内見学
早速館内見学を始めることになって私たち。やっぱり人がいるといないとではだいぶ違うものだ。
「ゆうっちはやっぱり子供は好きなほう?」
「はい。幼稚園の先生とかもちょっと考えたぐらい好きです」
「じゃあ見学に来た子とかの対応もOKだね」
「はい」
いまだに長谷川さんが“ゆうっち”と呼んでいるのに慣れない。真面目そうだからなおさらだ。まあ固すぎないよりはいいけどね。
「じゃあまずは展示ルームからです。こちらは体験スペースですね。子供たちがワイワイやっております。その奥にいるのが
「たっ、大変そうですね……」
「そうでございますか? 確かにスライムをぶつけられておりますがこれはいつも通りでございます。安心を」
「そっ、そうですか」
急にまた丁寧な説明口調になった長谷川さんに驚きつつ、仕事をメモする。
というか、大波さんはおおなみんって呼ばれてるのか。きっとあだ名をつけるのが好きなのだろう。
それにしても大波さん、大丈夫には見えないような……。お構いなしに子供たちにスライムをぶつけられている。おかげで着用しているエプロンは虹色状態。それでもにこにこしているところがすごい。これは見習わねば。
「続いて見えますは資料室でございます。こちらでは地域の情報なども管理しております」
「すごい量ですね」
私の目の前に広がるのは巨大な棚の列。そこにはぎっしりと資料が詰められている。これを整理しろと言われたら何日かかることやら。
「ここは館長の管轄なのでほとんど私たちが触ることはありません。それにこんな量の資料は面倒でございます」
「ですよね、さすがにこれは」
あの館長はいったい何者なのだろう。こんな量の資料を管理するとは。すごすぎる。
その後もいろいろと見て回ること約一時間。
ちょっとかかりすぎでは? と思ったが見ていて楽しいので苦にならない。
いよいよ次の部屋で最後のようだ。長谷川さんはなぜかわくわくした目つきになっている。
「いよいよ最後の部屋となりました! こちらは探偵業専用の会議室になっております」
「へぇ、探偵業の。で、今なんて?」
私の聞き間違いだろうか。
今、探偵業と聞こえたような……。
「探偵業でございまーす! どうも、新たな名探偵さま。」
「はい? 名探偵? 何のことですか」
「た・ん・て・いでございます。あれ? もしかして館長から聞いてなかった?」
「はい。まったくもって」
「あちゃー。 館長、ゆうっちにどうしても来てほしかったから秘密にしておいたのかぁ。ずりぃなぁ」
今何が起こったのでしょうか。
探偵業? 聞いてませんけどっ。
初日から全然愉快じゃないんですが!
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