第2話 クイーン

 只今、世界中で大ヒット中のクイーンの映画「ボヘミアン・ラプソディ」


 アカデミー賞総ナメ。主演のフレディ役の俳優がミッツマングローブ賞、じゃなくて、ゴールデングローブ賞を獲ったり。時の映画。はい。良い映画でした。


 ウンウン、そんなことなら、ちょっと前に観たマイルス・デイヴィスの映画とか、ジミヘンの映画も良かったよ。ストーンズのブライアン・ジョーンズの謎の死の映画「Stoned 」も良いし。何年か前の、ジョイデヴィジョンの映画なんかあたくし的には超良かったんだけど。映画が大ヒットするのはクイーンがジョイデヴィジョンよりも知名度が高いってことか。まあ、それは置いといてと。


 あたくし的にはフレディ役の彼の受賞の決め手は歯。あれはポリコレ的にセーフなんだ。もしや世界中の出っ歯の人が、この映画見ない運動とか起こしゃしねーかと余計な心配をしてしまった。


 クイーン。偉大なバンドです。キラークイーンとか初期が好き。


 クイーンと言えば…


 あれはかなり前、わたくしがまだロンドンにいた頃の話し。


 あたくしは、とある語学学校に通っていたのだ。クラスに何人かの日本人もいて、その中に、日本にいたら絶対に接点がないだろうと思われる、見るからに育ちの良さげな、その品というものが彼の発する言葉の端々から、また彼の何気ない仕草から滲み出ているような大和ボーイと出会った。男前だがちょっと古いタイプの男前。真剣佑に昭和のフィルターをかけたような男前。翔くん。(仮名)


ある日、語学学校の休み時間に翔くんは


「昨日、クイーンみたよ」


と少々興奮ぎみに言った。


あたくしも興奮して


「ええ、そうなんや。どこでライヴあったん? で、ヴォーカルだれ?トリビュート?」

と言ったのだけど、翔くんの顔は、んん??てな感じで困惑した様子だ。


「ヴォーカル、フレディの代わりは誰?」


「え、クイーンって 僕が見たのは、バッキンガムパレスのエリザベス女王なんだけど」



「……。」


「……。」


その後、二人で大爆笑。



クイーン違いかいっ!!


 イギリスでクイーンといえば、やはり女王だろうか。イギリスの音楽、歴史が好きでロンドンに行ったと言っても過言でないあたくしなどはクイーンと言えば迷うことなくバンドのクイーンだった。もうフレディも亡くなって何年も経つし、バンドも活動していないというのに。


 今、現在、こんなにもクイーンの映画がブレイクの中、ロンドンで「クイーンを見たよ」と言えば、それはクイーンの映画なのだろうか。それともエリザベス女王だろうか。


だれか調査して。

探偵ナイトスクープにハガキだそうかな。つか、まだハガキなんだろうか。


 クイーンと言えば思い出す、古いタイプの男前の翔くん。今頃どこで何をしているのかな。





では、また。



サバラなのら。






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