第5話・・・友との絶交

とうとう朝に起きられなくなっていった。


マナーにうるさい彼が「遅刻をしない」という会社のマナーを冒しそうで余計に不安で眠れなくなっていった。


いままで目覚まし時計などかけたこともないので、目覚ましの代わりに携帯電話の

アラームをセットして朝寝坊しないように枕元に置いた。


その日の朝。


彼は人生で初めて遅刻をしてしまった。


どうやら携帯のアラームは機能したようである。


『マナーモードのアラーム』


結局、ブルブルと震えていただけで、彼を起すには至らなかったのである。


枕もとの携帯電話を握り締めながら彼自身がブルブルと、まるでマナーモード

のように震えていた。


彼は友達だと思っていた携帯電話と、その日から絶交したのであった。


つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る