第4話・・・ストレスは振動から

電車ではマナーモードにしてほしい。


ピコピコと音を出してゲームをしているやつらに殺気を覚えてしまうくらい彼はマナーにはうるさい。


殺さないまでも、相手の携帯を取り上げて、マナーモードにセッティングしている妄想を繰り返してしまう。


ある時、映画館で一人で映画を観ていたら「ブー、ブー」とかなりの音が鳴った。音より振動のほうが伝わってきて不愉快に思った。誰だと思ったら自分の携帯だった。


彼はストレスがたまっていた。


昔はこんなにストレスを溜めなかったのに……。


マナーモードにセッティングした時から、ブルブルという振動がストレスをためていく原動力になっているかのようだ。


彼は自覚していた。


どれだけ自分がマナーモードの携帯電話に人生自体をコントロールされているかを……。


夜も眠れない日々が続いていった。


つづく

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