第18話 安堵のため息

翌日、朝早くに妹が出かけて行った。

友達と遊びに行くようだ。


彼氏なのか?

お兄ちゃん、寂しい・・・


「一郎、本心じゃないでしょ?」

「わかるか?」

「うん、もう一郎の事は・・・」


妹の留守中に、部屋でパソコンを使わせてもらった。


「勝手に使っていいの?一郎」

「ああ、許可は取ってる」

「女の子の部屋に勝手に入っていいの?」

「兄だから、いい」


俺は、パソコンを立ち上げた。

そして、ネットを起動させ、昨日のサイトにアクセスした。


「一郎、何て書いたの?」

「これだよ」

俺は、まほに昨日の書きこみを見せた。


【初めまして。


僕も鉄道が大好きです。


ルナさんの書きこみが気になったので、レスしてみました。

お兄さんと、共通の趣味、とても素敵ですね。


僕も妹がいるのですが、趣味がありません。


また、会えるといいですね。


HN:KIYU】


「支離滅裂な、文章だね。一郎」

「ほっとけ!大事なのは文章でなく、HNだ」

「HN?」

「KIYUとあるだろ?」

「うん」

「盛田さんの、名前を逆さにした」

「あっ、本当だ。マスターくんの名前を逆さにしてある」

「気付いてくれるのを願ってな」

すぐには、返信は来ない。


俺は一度、間を置くことにした。


その時、HN:RUNAさんから、返信があった。

その文面を見て、思った。


「気がついてくれたようだ」

安堵のため息が出た。

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