第17話 持つべきものは
「まや、どうした?」
「見て、お兄ちゃん、パパに買ってもらったの」
まやの部屋には、パソコンが置いてあった。
「どうして、買ってもらったんだ?」
「高校合格のご褒美だって」
「ちょっと待て、お前は中高とエスカレーター式だろ?」
「細かいことはいいじゃない」
あのくそ親父、俺には何もかわいいくせに。
(まあ、まま、一郎、男親は娘がかわいいんだよ)
(AIは、だーってろ!)
「お兄ちゃん、何言ってるの?」
「親父への、怒りの叫びだ。」
「そうなんだ・・・。で、教えてくれる?」
「何を?」
「ネットやりたいんだ」
「お前な・・・」
操作しようと思ったが、既にアクセスできる状態になっていた。
アイコンをクリックすると、ネットにアクセスが出来た。
「お兄ちゃん、凄いね」
「まあな」
俺はふんぞりかえった。
(一郎は、何もしてないでしょ)
(だから、しゃべるな)
「女の子の声がしたけど?」
「気のせいだ」
「ふうん」
疑いの目を向けてくる。
「お兄ちゃん、妹に秘密はよくないよ」
鋭いな、やはり女か・・・
うん・・・ネット?
「まや、少しやらせてもらっていいか?」
「うん、いいよ。教えて」
「まずはだな・・・」
俺はまやに教えるふりをして、さっきネットでアクセスしたサイトに行ってみた。
でも、レスはなかった。
「お兄ちゃん、鉄だっけ?」
「違うけど、どうして?」
「ここ、鉄道オタクが集まるサイトだから・・・」
「どうしてわかる?」
「だって上に・・・」
気がつかなかったが、書かれていた。
「鉄のみなさん、集まれ」と・・・
「これ、お兄ちゃんが書いたの?」
「どれ?」
「これ」
まやは、俺が書いた書きこみを指差した。
「なぜわかる?」
「まんま、本名だもん」
「よくある名前だろ?」
「でも、言葉づかいとか、お兄ちゃんらしい」
さすが妹だ。
「で、まや、この前の書きこみの子は・・・知らないよな・・・」
「うん」
そうだよな・・・そんなに都合よく行かないか・・・
「まや、また貸してくれよな・・・」
「うん、いつでもいいよ」
俺はまやの部屋を出た。
「いい妹さんじゃない。本当に、一郎の妹?」
反論が出来ないのが、悔しいところだ。
でも、これでネットカフェに通う必要はなくなった。
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