SyainingsRedys (xi)

 ――とまあ、雰囲気が少し悪化したときはだいぶ動揺したが、最後は謝罪をし、ことなきを得た。


 あれからS.Rさんたちにはいろいろなことを教わった。

 空気の読みかたとか、

 男性の本質は基本的にMで、深層心理では女性への従属を望んでいることとか、

 皆さんがタバコをくわえる前にすばやく火を差し出す気配りとか、

 タスポの使いかたとか、

 女性は「この人、痴漢です」の一言で(事実の有無に関係なく)男性を破滅させる力を持つ社会的強者であり、逆に男性は弱者である事実とか、

 自立した女性に相手にされない変態オタクがありがたがって視聴しているアニメは「なんら努力することなく脈絡なく不自然に強くなって活躍し、多数の女性に言い寄られ何股もかける」(しかも言い寄る女性はほぼ例外なく、20-30代の自立したせいじん女性ではなく10代の未成年者。それがなにを物語っているかはいわずもがなである)という、聞いているだけでこちらが赤面しそうな陳腐で幼稚で、成人女性おとなの視聴には耐えるべくもないきわめて低次元なものである現実とか。

 本当に、重要なことをたくさん学ばせてもらった。


 お祓いをしてもらったのも大きな恩義だ。

 実は私には狐や蛇などの悪い霊がだいぶ取り憑いていたそうで、S.Rさんによると、除霊師せんせい(関東で5本の指に入る高名なかただそうだ)は、私の写真を見たとたん、すぐにでも私を都内まで連れてくるように、と血相を変えてS.Rさんに連絡したのだとか。

 先生曰く「ここまで憑いている人を霊視たのは7年ぶり」。私はそうとう危険な状態で、そのままでは年内にも命を落とすところだったと言われ、背筋が寒くなった。

 きちんとお祓いをしてもらって、今は強い指導霊だけが憑いているが、S.Rさんたちに出会わなければどうなっていたかと怖くなる。その点だけは私は強運の持ち主だったといえる。

 祈祷師せんせいにも「あまりたことがない不思議な色のオーラが出ている。23歳までにだいぶ数奇な運命をたどることになる」と言われた。それがこの『プリムズゲーム』なのだろうか。


 ところで。

 私はなにについて考えをめぐらせていたのだろう。だいぶ横道にそれてしまった気がするが。

 記憶を逆戻りでたどってみる。

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