第40話2-10-1.インターハイ校内予選―――よく見るとコイツ等ヤバい件
―――インターハイ校内予選の朝、さすがに旧美術講堂に全員来ているな。
「キエ―――!皆の者!いよいよ・・・」緑アフロ隊長も張り切っているな、黄色いツナギもよりいっそう黄色い・・・そんなわけないか。
校内予選はA、B、Cグループに分けられるが実はどこに出場したいか選ぶ事ができる、選択しないとランダムになる、そしてA、B、Cの各優勝チームはそのまま全国大会に出場可能だ。ちなみに校内予選に負けても出場しなくても地区大会にエントリーは可能だ、地区大会に優勝もしくは準優勝でもこれまた全国大会に出場できる。つまり降魔六学園の生徒は全国大会の出場枠が多く優遇されているのだ。
ただし、Aグループには“ホーリーライト・ザ・ファースト”が第一シードされており、Bグループは“DD-stars”が第一シードで出場する。つまりAグループとBグループの優勝チームは戦う前から決まっているのだ。“ホーリーライト”は全国大会団体戦は何年も優勝し続けている(これは桔梗が入学する前からだ)、そしてここ2年は団体戦準優勝しているのが“DD-stars”であるわけだ。両チームともドラオン(竜族の召喚士のみで構成されるチーム)で最低TMPAは各人3万越えているマーベラスな反則級チームだ。
“ホーリーライト”は先鋒が高成弟で相手の耐性を無効化する接近戦最強クラス。次鋒は氷、火、雷のそれぞれのスペシャリスト3人が相手チームに会わせて入れ替わる、名前は憶えていない。中堅ダブルスは何て言ったっけあのデカい岩みたいな奴と安福絵美里の2人だが僕の記憶ではここ2年間負けていない、移動砲台のような連中だ。副将は更科麗良、空中戦のスペシャリストで光輪を複数飛ばして戦う。大将は言わずもがな5属性を操る西園寺桔梗だ、僕が偶然勝ったとはいえ依然高校生の召喚戦闘世界チャンピオンだ。
“DD-stars”は先鋒が高成弟のライバル、纐纈守人だ、バランスよく、切り札の武神モードで10秒ほど爆発的に強くなる、もう2年前だが桔梗にダメージを負わせたことがある。次鋒は武野島環奈だ、おっとりしているように見えるが“ブラストハンマー凶”なる巨大ハンマーを振り回して近接攻撃力は最強クラスだ。中堅ダブルスは藤崎成城と大津留ジェニファーの高速戦闘コンビだ、二人とも素手の戦闘に長けており藤崎が空手、ジェニファーは本人曰くマーシャルアーツの達人だそうだが実際二人ともとても早く強い。副将は姫川樹奈だ、氷竜使いで特殊魔装“氷樹界”で戦う、速攻で倒さないと撃破不能となる(速攻で倒さないと桔梗でも危険だろう)。大将は桔梗のライバルと言っていいだろう不知火玲麻だ、雷竜使いで空中戦特化型だ、攻撃密度が高くカウンターも上手い。ちなみに纐纈君と不知火さんは恋人同士だそうだ、恋人ってどうやったらできるんだろう・・・、リア充に不幸を・・・。
まあ僕は前回の公式戦で個人戦全国優勝しているしインハイ個人戦でいい成績をあげる必要も無くなった・・・とある推薦が欲しいだけなのだ。インハイの団体戦予選でチームとして負けても僕だけは勝っていれば多分推薦はもらえるだろうか。個人戦の予選は明日だが出る気は全くない。まあZ班のみんなも団体の公式戦1回か2回くらいは勝たせてあげないと・・・。
「キエ――!ちなみにZ班第二部はグループCに参戦、我らがZ班第一部はグループBに出陣する!」
えええ!?
「え?アフロ?ちょっと聞いてなかった、グループCじゃなくてうちらBに出るわけ?」
「うむ、そうである、もけ。戦術は我にあり、まあ見ておれ」ニヤッと笑っているけどさ。まあグループBはCよりも参加チームはかなり少ないだろうけど・・・有利なのかな?まさかグループBでベスト8とか目指す気だろうか?DD-starsに当たれば終わるぞ。くじ運頼みというのはあんまり好きじゃないが。
「―――鳥井大雅はZ班を信じています。みんな‼思い残すことなくこの2カ月の合宿の成果を出して行きましょう!それでは・・・」あれ黒アリス気合入ってるな、紫の特攻服の背中が燃えるようだ、特攻服は今日も似合うけど実行委員から怒られないといいけどな、バトルスーツだっていい通すしかないか。
・・・グループBに参戦か。まあアフロ天才軍師を信じますか。
―――いくぞー!Z班!オ――!!
「今日のおれっちバリバリだぜ!それは夏奈への愛のために・・・」
「全員踏み潰してやる、雑魚どもめ!じんめ先輩の前に塵一つ残さない」
「Z班の銀河神話が始まるのです僕のエアーアイアントルネーディフィストで~!」
「き、緊張しちゃうな。おトイレに行ってきます」
「・・・おねがいミイロミューン。みんなを守って・・・」
「我々はZ班だ、目を開け。自分の足で歩け。間違いない自分は自分だ自信を持て」
・・・あの。みんななんでこんなカッコつけて・・・。黒アリス、塵一つ残さないって相手を焼き尽くしたら反則だけどな・・・。青木君、エアーアイアントルネーディフィストなんて教えてないけど頼むから変なことをしないで・・・ん?
誰かが横滑りしてくる。
「グモ―!アッチョチョウ!なんでみんな起こしてくれないのじゃ!寝坊したのじゃ!どうして起こしてくれないのじゃ!」
だ、ダイブツくん・・・。
―――降魔六学園の召喚戦闘部は全部で460チーム前後あるが霊眼で確認すると413チームほどが校内予選に参加するようだ。参加しないチームは個人戦を重視していたり最初から地区大会に出るつもりのチームもある。1年生だけのチームは参加を見送っているところもある。
我々の参加するグループBは107チームが参加。グループAは91チームでのこりはグループCのようだ。
試合は・・・グループBはすべて第3高校で行うみたいだな。
第3高校は体育館が10個あるけど・・・霊眼で遠隔視するとすべて稼働させるつもりだな・・・」準備している。第3高校は葵の魔晶石を通してずっと見ていたから自分の高校のように地理が分かる。
ん?あ、そうか僕以外は携帯端末の校内予選アプリで確認できるのか。
自分の端末欲しいな・・・でも高すぎるし・・・。
Z班のみんなと校庭へ足早にやってきた。まだ午前7時前だが、さすがに今日は生徒だらけだ。・・・インハイの成績は受験や推薦に最も影響するからな。
第6高校の校庭にはもう何台もバスが止まっている。今日は臨時バスが降魔六学園中を1日中走るようだ。つまり負けたらさっさと帰ってこれる。まあ第3高校まで10km程度だから走るか飛んでもいいけど。
ん?ピンクツインテールが近づいてくるのが感覚で分かる。相変わらず派手なバトルスーツを着ている。
「神明様、由良でございます」丁寧なお辞儀だ、最近なんか変わったな・・・。
「城嶋さん。昨日はありがとう、助かったよ」
「あの程度では仕事をしたうちに入りませんわ。申し訳ございません・・・本日は身辺警護できませんがご容赦下さいませ。予選につきましては色々思うところございますが神明様に間違いがあるはずございませんわね。失礼いたします・・・ではご武運を」
グループCは第4から第6高校の体育館をすべて使用するようだ・・・出場チーム多いからな。
―――Z班第一部はバスで第3高校へ移動だ。
僕たちが乗った時にはバスの席は既に埋まっていたがダークアリスが乗客―――つまり他の生徒達を
(いいのかな?これで、タイガーもアフロも叱ってないし。まあいいのか?)
バスはすぐ着くだろう、しかしいつもなら6つの学園生徒をすべて集めて西園寺桔梗がありがたいお話しをするはずなんだけど・・・。現地集合現地解散というのは珍しいな。
トーナメント表はすでに決まっているようだ。
DD-starsや強豪はトーナメント表を見る限りしばらく当たらない・・・。
第3高校の第8体育館で僕らの予選トーナメントは始まることになった。
Z班はTMPAは2万越えも数人いるし。村上君のバーサクが決まって、かつ弱いとこと当たれば4回戦くらいまでいけるといいが。ちなみに7回勝てばグループB優勝だ。一番ヤバいDD-starsは当たるなら決勝だな。ああ次にヤバい1高の“ブラインドガーディアン”はDD-strasと準決勝であたるな。
なんでグループBにしたのかアフロ隊長のお手並み拝見だ。うちはもちろんシードはない。すぐ試合になる。
―――1回戦第22試合開始―――
僕らのチームは最弱の弱小チームなのに結構ギャラリーがいるな。
1回戦の布陣は先鋒、ダイブツくん。次鋒、ダークアリス。中堅ダブルス、村上君と青木君。副将、オールバッカ―。大将、僕・・・か。
先鋒次鋒は大丈夫か・・・これ。
アフロが全員を集めた。
「みんな聞けい、魔装鎧は使用禁止でいく、いいな」
えええ!マジ?なんで?
相手チームはえーっと、TMPA平均1万切ってるな。竜族はいない。第5高校のチームが初戦の相手だ。
―――先鋒戦開始!
TMPA1万、ダイブツくんの相手も戦闘能力は数字上は同じくらい。
でも格闘技経験のない大仏くん、大丈夫じゃないだろうな・・・。魔装鎧を纏えば防御は有利だろうけど・・・。
「ふわっっちゃーーー!!」
ダイブツくんが前方に転がった。ほんとに魔装しないんだ!
あれ?そこそこ早い!普通に体術ができている!あれダイブツくんだよね?
フワッちゃ―――!グモモモモ!
え?左右の拳の連打に、後ろ廻し蹴り?カウンター?
ババババッキー―――ン!
相手の一回り大きな男子選手は全く反撃の隙無く、魔装鎧を複数個所割られて空中で連続技をくらい悶絶した。
先鋒戦、Z班勝利。
えー!マジで?・・・アフロめ。
どんな手品を使えばダイブツくんが戦えるようになるんだ?いや普通に戦えてるし。
いや?え?
―――次鋒戦開始!
身長178㎝の黒川有栖は紫の特攻服のまま闘技場に上がる、見た目は堂々として美人だし、姿勢いいし・・・見た目はいいんだよな。
あ!
紫の特攻服・・・早い!いやそこまで早くないけど!いや相手にとっては早くて見えてないぞこれ。
一瞬で近づきダークアリスの右ハイキックが同じくらいの身長の男子選手の左頸部から鎖骨のあたりに決まった。そのままエライ勢いで相手選手は転がっていく。
一撃か・・・、骨折したな。立てないだろう。
まあアリスはTMPA24000だからな。当たればそうなるか・・・相手のTMPAは11500だもんな。
「ファイト―でーっす!アリスちゃん!」
手をグルグル振り回して星崎さんは一生懸命応援してるけど、もう終わってるよ試合。
次鋒戦・・・Z班勝利。
「じんめ先輩ゴミムシに勝ちました」
こっち向いてガッツポーズは少しハズカシイ。ゴミムシって・・・、しかしハイキック強かったな・・・。
―――中堅戦開始。
中堅はダブルスで2対2で戦う。
闘技場は召喚できない抗召喚結界が通常張られているが、ダブルスの場合は闘技場は少し広くなり抗魔装結界も追加される。つまり魔装鎧や魔装武器は使用が著しく制限される。ダブルスは魔装鎧できない選手の活躍の場を作るためか・・・と言われているが体術を極めれば魔装鎧なしでもそれほどの攻撃力低下は無い。ただし防御は著しく落ちる。
あ、そうか。相手は2人ともTMPAも1万前後だ。
村上君のバーサクモードいらないんだ。これだけ実力差があると・・・。
戦闘開始・・・相手選手からは山が近づいて来るようだろう・・身長205㎝の村上君が相手の選手を2人とも首のあたりを掴み持ち上げて同時にズン!と地面に叩きつけた・・・ちなみに2人とも身長は小さくはない。
こんな技一度も練習でやってないけど・・。うーん、まあいいか勝ったから。
ちなみに青木君は「ダボーグランドデストロイヤー!!!」と叫んだだけで何もしなかった。
2人で練習したのかな?・・・ハゲの青木君は叫ぶ係り?
―――副将戦開始。
ってもう1回戦勝っているじゃないか。あと負けても3勝2敗だもんな。
(残り棄権していいんじゃないのかな・・・、棄権させないのかアフロ)
ああ、始まってしまった。
・・・ややバタついたがオールバッカ―も勝利した。
まあ攻撃力も防御力も倍はある・・・段違いだからな・・・相手の攻撃はほぼダメージにならないし・・・。
副将戦、Z班勝利。
闘技場から降りてきたオールバッカ―がぎょっとする顔で・・・マジ泣きしている。
「ぅおおお、は、初勝利だ、ぅおおぉ。うれしい・・・」
そんな泣かなくても順当勝ちだし・・・。
・・・初勝利だったの?おめでとう。・・・オールバッカーなんで抱きついてくるんだ・・・。まあいいか。
「はうっ!いけないわ!2人とも」星崎さんは何に反応して・・・なんなんだろう・・・。
―――大将戦開始。アフロ曰く今日は僕はずっと大将で固定らしい。
棄権してもいいんだけどな・・・。
ま。いっか。
相手は身長168㎝くらい男子選手だ、黄色っぽい魔装鎧を纏っている。
近づいても何をしようとしているのか分からないが、僕が消えたように見えているのだろうがとにかく遅すぎる・・・もう戦闘開始してますよ・・・。
さらに接近して相手選手の心窩部に掌底を軽く入れる。彼の腹部の黄色い魔装鎧が消し飛ぶのが見える。
そして結界の端まで彼の身体は飛ばされて・・・予想通り動かなくなった。
大将戦Z班勝利。
5戦全勝か・・・まあ1回戦だしな・・・。
だが万年最下位のZ班が一勝だ。
おぉお!やったー!!
両手を天に突き上げてオールバッカ―が叫んでる・・・中堅が勝った時点でチームとしては勝ってるけどね。
「おめでとう、みんな。怪我は無いかな」そう言うにこやかな星崎真名子は本当に合宿前と別人のようだ、靴も履いているしヌイグルミも持っていない。ニャンコブーメランとかいうウサギのヌイグルミはなんだったんだろう・・・しかし・・・正直美人だ・・・青木君と進展するといいけど。
さてインハイ予選は始まった・・・どこまでいけるかな。
チーム“Z班”は・・・。
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