第24話
朝方スタジオを出て、フラリフラリと歩いた。
ここは海が近く、日本でもこんな景色見たことあったよなぁと思い出しながら、朝日に手を翳した
目の前から、歩いてくる女性
アジア人?日本人か?
どんどん近づいてきたその人は次第に小走りになった
え?まさか?
数メートル先からゆっくり歩き出した彼女は嬉しそうに少し大きな声で言った
「ねぇ、口開いてるよ」
「いきなり、それかよ」
「...美人だから、見とれてた」
「そっ?」
「名前は?」
「優奈」
「ふーん、聞いたことあるなぁ」
「昔、ナンパでもした?」
「たぶん」
「瞬!!」
飛び込んできた彼女を抱きとめた
髪を撫でて、顔を覗き込むと
もう、目には今にもこぼれ落ちそうな涙
「親は?」
「怒ってた」
「仕事は?」
「辞めてきた」
「っで何しに来た?」
「瞬に会いに来た」
「お前なぁ、めちゃくちゃだな
.....会うだけ?
また、いなくなんの?」
「いなくなんない
ずっといる、いーい?」
私の頬を挟んだ彼は唇を震わせて目を真っ赤にした?
でも、息をすーっと吸って笑顔でしっかりと言ってくれた
「いいよ
ずーーーっと、な」
全部、捨ててきた
あなたの腕に飛び込む為に...。
財力、地位や名誉
世の中の人達が必死になって掴み取ろうとするものを私は持ってた
でも、そんなものは何一つ必要なかった
たった一つ欲しかったもの
それはこの温もりと
「優奈.....愛してる」
この言葉だけ
目を細めて笑う彼を見上げて
背伸びをしてキスをすると、涙の味がした
「もう、瞬まで、グスッ、泣かないでよー
そんな泣き虫だったぁ?」
「...優奈が...俺をそうしたんだよ」
「瞬の声...聞いたよ。
心に響く音...初めて聞いたよ
ありがとう」
うんと頷いた彼はもう一度、優しく長く、あったかいキスをくれた
あの夏の日、僕は君と出会った
君に会えない夏が過ぎ、
そして、
今年の夏の日、また、君と出会えた
優奈
季節が変わっても、ずっと隣にいて...。
これからは一緒に歩いていこう
Secret Love ノン❄ @non_non129
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます